当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら。1917年に日系一世のマナゴ夫婦が始めたハワイ島、コナにある「マナゴホテル」。家族代々受け継ぎ現在4代目、地域のランドマークとしての魅力は変わらない。ローカルが集うレストランの人気メニューはポークチョップ。
夕暮れ時、マナゴホテル前を走るハイウェイ沿いの歩道に、白髪の女性が立っている。女性は立ち位置を変えては、ホテルのクリーム色の外壁と、金属製で波型の日よけと、その上に整然と並ぶ2階の窓が最もうまくカメラに収まる角度を探している。
ホテルの入口付近では、4人の客がウインドー越しに中のアンティークボトルを眺めてから、ロビーに入っていく。受付カウンターの奥から宿泊客に声を掛けている人物は、経営者のタリン・マナゴだ。
数分後、ホテル正面の突き出し看板が点灯する。建物最上部の「マナゴホテル」と記されたコーヒー色の文字の中央から1階の日よけのすぐ上まで架かる縦長の看板で、赤と緑と青のネオンが、地元の人であれ、島の住民であれ、海を渡って来た人であれ、分け隔てなく迎え入れてくれる。
マナゴホテルは、サウスコナ地区の象徴であるホテル兼レストランで、タリンと妹のブリトニーは4代目の経営者に当たる。姉妹の曽祖父母にあたるマナゴ・キンゾウとオサメが事業を始めたのは1917年。それまでの雇い主から借りた100ドルが元手だった。
曽祖父母は、キャプテンクックで買い取った民家を改築して、全2部屋のうち1部屋でうどんやパンやコーヒーの提供を始めた。
当時、タクシー運転手が近隣のパリスホテルで乗客を降ろしてから、夫婦の店を訪れて休む場所を求めることがあった。オサメはこの要望に応えて、50セントから1ドルで布団を貸し出した。
こうした運転手が常連の宿泊客になると、曽祖父母はこの機会を捉えて事業を拡大し始める。
1929年の拡張工事と全面改装を経て、現在の旧館が完成した。その後、1959年から1969年にかけて、旧館の裏側に3階建ての新館を段階的に増築した結果、部屋数は64になった。
レストランは広々としていて、懐かしい風合いの木製テーブルで食事を楽しめる場所だ。マナゴ一家によると、ハワイ州に現存するレストランとしては最古だという。
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