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多くの上司は部下のことなど信頼していない

すべての上司にここまでナイーブなことを要求するつもりはありません。しかし、純粋な人であればあるほど、信頼されるということは以上のような無条件性を含んでいるのです。
部下が何か問題を起こしたということを聞いて、第一声で「信頼していたのに、なんでこんなことになったんだ」と上司が言うなら、部下は本当の意味で信じてくれてはいなかったのだと心のどこかで思うことでしょう。
本当に部下を信頼していたのであれば、最初に言わなくてはいけないのは非行少年と同じで、「何かの間違いだよな。君がそんなことをするはずがない」です。それが自然に言えないのはその部下のことを信頼などしていないのでしょう。
 

信頼するならする、しないならしない

別に、純粋な信頼ではなく「予想」でも問題はありません。私も無条件に信頼できる人などほんのひと握りであり、一般的には信頼という言葉を使ったとしても、本稿での定義で言えば、実際には「予想」の範囲でその人のことを思っているだけのことが大半です。
しかし、やはり「信頼している」という強い言葉を使うのであれば、本当に信頼しているときに使うべきではないかと思います。信頼して任せて、それが良い結果が出なかったのであれば、それは仕方がないと思えるかどうかです。そう思えないのであれば、軽々しく「お前を信頼してこれを任せるのだが」と言うべきではないかもしれません。
細かいですが、「君ならこれをやってくれるだろうから(予想)、任せるよ」でいいのです。「信頼」というキラーワードは伝家の宝刀として、ここぞというとき、人に対して使う方がいいと思います。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
 
石井あかね=イラスト


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