不思議なことだが香りには思い出を深く保つ効果があると思う。
経験的にもそうで、潮の香りが漂うと夏の家族旅行が頭に浮かんだり、野焼きの匂いを嗅いだとたん冬の通学路を思い出したり。料理の香りや線香の香りにも、ふとノスタルジーを感じたり。
ということはつまり、今現在の暮らしの記憶は、もしかしたら今現在の家に漂う香りとともに刻まれるものなのかも。
ならば自宅には素敵な香りを。多種多様な“香りのプロダクト”を揃えるイソップから「アロマティック キャンドル」が初登場。
香りは3種類で、それぞれ古代の天文学者に由来する名前が付けられている。
なぜ天文学者? ディレクターのケイト・フォーブスいわく「最初に“星のようなキャンドル”というイメージを描いたんです。そして古代の天文学と関連する神話からインスピレーションを得て、心に静けさをもたらす香りを開発しました」。
シダー、サイプレス、ベチバーをブレンドした、日本の原生林を想起させる樹脂の香り「プレトミー」。中世天文学に影響を与えた古代ギリシャ系エジプト人の科学者の名前である。
フランキンセンス(樹脂の一種)、グアヤウッド、シソによる厳かな香り「カリポス」は、古代ギリシャの天文学者/数学者。
そして女性初の天文学者の名前を冠した「アグラオニケ」は、カルダモン、クローブ、ミモザに加え、ほのかに残るタバコの香りが味わえる。いずれもイソップらしい控えめで洗練された香りである。
例えば何十年後か、自分の子供が里帰りしてこの香りを嗅いだとしよう。そのとき彼、彼女は間違いなく、香りとともに幼少の記憶を蘇らせる。そんなふうに長いスパンの時間を想像させてくれるというのも、このキャンドルの楽しさかもしれない。
ちなみにキャンドル用のプレイリストもSpotifyに用意されている。なんとも気が利いているのがこのブランドらしい。
こちらからぜひチェックを。
視覚、嗅覚、そして聴覚まで併せて「いい時間」を過ごしていただきたい。
加瀬友重=文