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辞めた人ではなく、自分の至らなさを嘆くべし

一生面倒を見られない以上、どんな理由であっても個人が会社を「辞める」ということを非難する筋合いはありません。
もちろん、採った人、育てた人からみれば、残念なことであったり、もったいないことであったり、腹立たしいことであったりするでしょう。
しかし、人には非合理で、自分に不利なことでも、実行する権利があります。ある意味、タバコやお酒のようなものです。
人が辞めるときには相手側にある理由はコントロールできないのですから、次につながる反省は自社や上司としての自分が何かできることがなかったか、ということだけなのです。何事もそうですが、コントロールできることにフォーカスすべきです。
 

愛のある忠告であれば、いつかわかってくれるかも

しかし、それでも、辞めていく(いこうとする)若者にモノを言いたいときもあるでしょう。
今辞めることが本当にその人のためになるのか、とか、このタイミングで辞めるのは周囲の人にとってあまりに義理を欠き、人としてそういうことをしても良いのか、とか。
それを、本当にその人のためを思って言うのであれば、嫌われようがどうなろうが、本人に直言すれば良いのです(残った他人に言うのではなく)。強い気持ちが裏にあるなら伝わるかもしれません。しかし、それでも、「親の心、子知らず」ですから、期待してはいけません。
私もそうでしたが、上司からの愛のある忠告は、何年も経って、自分が上司になってからようやくわかったものでした。間違っても「お前のためを思って言うのだが」などとは言わないほうが良いでしょう。
自分のために言ってくれたかどうかは、相手が判断するものですから。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ
「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
石井あかね=イラスト


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