「What’s AIR JORDAN」とは……どこの世界にも定番を超越したアイコンがあるものだが、さしずめストリートファッションなら「エア ジョーダン 1」の存在を忘れちゃいけない。
ベドウィン & ザ ハートブレイカーズの渡辺真史さんも長年「エア ジョーダン 1」に魅了されている一人だ。
あまりにも好きで「エア ジョーダン 1」が履けなくなるまで
数あるナイキのスニーカーの中でも「エア ジョーダン 1」には特別な思い入れがあるという渡辺さん。実際に何足か持っていると言うが……。
「でも、基本的には履かないんです。なんだろ、骨董品やアートに近い感覚なんですよね。かと言って観賞用でもないから飾ることもない。たまに倉庫から出して見て、おお!みたいな(笑)」。
渡辺さんにスニーカー遍歴について聞くと、「エア ジョーダン 1」に辿り着くまでにはそれなりの道のりがあったことがわかる。
「ナイキの原体験ってことなら小学生まで遡るのかな? 友達はアディダスやプーマ派が多かったんだけど、当時の僕は、まだ新興ブランドだったナイキが気になってたんですよね。
単純にモノが格好いいってのもあったけど、たのきんトリオがこぞってナイキを履いてたりと、子供ながらにほかのブランドにはない魅力があって」。
そんな渡辺さんが初めてハマったナイキは「ブレーザー」。1980年代のダンスシーンではキャンバス素材のモデルが流行っていて、彼自身もブレイクダンスをやっていたためにチェックしたとか。その後「エア フォース 1」などの名作はひと通り試したという。
で、今回の主役「エア ジョーダン 1」との出合いはいつ?
「1985年の発売当時は魅力に気付いていませんでした。14〜15歳でしたし。もうちょっと経ってからですね、出合いは。ストリートで支持され始めて自然に知りました。
以来、いろいろ履いてもきましたが、15年程前から、あまりにも好き過ぎて履けなくなってしまったんです(笑)」。
なぜなら、あらゆるブランドのスニーカーと比較して「エア ジョーダン 1」の存在は別格だからだ。
「誰もが知る金字塔的な傑作がいくつもあるナイキの中でも、『エア ジョーダン 1』に勝るアイコンは存在しない、というのが個人的な見解。最近Netflixで『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』を観て、その価値を再認識。“ジョーダン・ブーム”が再燃しちゃいましたね」。
シカゴ・ブルズを2度目の3連覇に導いた1997-98シーズンにスポットを当てたこの作品では、「エア ジョーダン 1」を履いたマイケル・ジョーダンの勇姿が確認できる。
「言うまでもないけど、このスニーカーの価値を誰よりも高めたのはジョーダン本人で、やっぱり彼がプレー中に履いている姿がいちばん格好いい。
あえてそのストーリーを切り離してプロダクトとしての『エア ジョーダン 1』の魅力を挙げるなら、ソールが薄くて、木型がシュッとしているところが好きですね」。
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