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ごみ清掃員・滝沢秀一の誕生

どうしてもバイトが見つからない──追い込まれた末に頼ったのは、お笑いを辞めた昔の仲間だった。
「すでにお笑いを辞めているやつなら、何かしらの仕事をしてるだろう。そう考えて久しぶりにかつての同期に『今何やってるの?』と電話したら、『ごみ清掃員』と答えたんです。『その仕事、俺でもやれる?』と聞くと、『やれる、明日から来てもいいよ』と言う。『えっ、ホントに? いいの?』って、そんな感じで決まりました」。

ごみ清掃員・滝沢秀一が誕生した瞬間である。
ただし、このときの彼にとって、ごみ清掃の仕事はあくまでも副業。いつかまたお笑いだけで食べられるようになるまでの“つなぎ”であり、“腰かけ”にすぎなかった。
 
後編に続く
プロフィール
滝沢秀一(たきざわしゅういち)●1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、カルチャースクールで出会った西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなどコンビとしての実績をあげつつ、2012年、ごみ収集会社で常勤を始める。2014年に『かごめかごめ』(双葉社)で小説家デビュー。2018年、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)を上梓したあと、漫画『ゴミ清掃員の日常 ミライ編」(講談社)、絵本『ゴミはボクらのたからもの』(幻冬舎)を立て続けに出版。最新刊は『やっぱり、このゴミは収集できません』(白夜書房)。
「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。上に戻る
岸良ゆか=取材・文 赤澤昂宥=写真


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