この先『BLUE GIANT』はどうなっていく?
──改めて石塚先生、ジャズ漫画を描こうと思った理由を教えてください。何より、アメリカで聴いたジャズがカッコ良すぎたんです。もう、ずっと消えないんですよ、記憶から。
──若いときだと特にそうかもしれないですね。若者にとってカッコいいって本当に重要。僕にとってのアメリカ生活の大事なお土産が、山とジャズです。『岳』という漫画を描いた理由と同じで、『BLUE GIANT』がジャズの入口になればいいと思ったんです。
──勝算はあったのでしょうか。いろいろと厳しいご意見もいただきました、ジャズなんて今誰が聴くんだ?みたいな。でも心の底で「絶対イケる」と思っていましたね。
──その理由をぜひ教えてください。絵として見たときもカッコ良かったからです。ブルーノート・レコードが出してきたアルバムのジャケットもそうです。人だけ、楽器だけ、あるいは弾く姿だけでカッコいい。これを伝えれば勝ちだなと。
──“カッコいい”はすべてに勝るというわけですね。オーシャンズにとっても参考になります。個人的には、もっと服を描き込まなきゃいかんと思ってます。というのは、大にサックスを持たせないで描くと、なぜかキマらない(笑)。アルバムジャケットは人だけでも成立する写真がある。それってジャズマンがお洒落番長だからなんですよね。これからは服の絵、もっと頑張ります(汗)。
──最初に伺ったように、ついにアメリカ編です。物語の終わり方は見えていますか?終わり方はまったく見えていません。世界一のジャズプレーヤーを目指している大ですが、何が世界一かはわかっていないと思います。僕もそう。これから大と一緒にアメリカを旅をしながら、答えを探していきます!
『BLUE GIANT』とは?
仙台出身の主人公、宮本大。世界一のジャズプレーヤーを目指して、雨の日も風の日もひとり川原でサックスを吹き続ける大は、高校卒業後に上京。仲間を見つけ成長を重ね、ついに国内最高峰のライブハウス「SO BLUE」のステージに立つ。ヨーロッパ編は『BLUE GIANT SUPREME』、アメリカ編は『BLUE GIANT EXPLORER』。強い意志を持つ青年とジャズマンたちの熱すぎる群像劇だ。
加瀬友重=取材・文