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③大将 ナイキ「エア ジョーダン1 ブレッド」


ナイキの名作中の名作、エア ジョーダン1。ブルズカラーを纏った配色の“ブレッド”は、今なおその威光に陰りは見られない。山下さんが若い頃から憧れ続けてきた一足でもある。
「学生の頃は『スラムダンク』が流行って、みんなジョーダンとかナイキのスニーカーに憧れてました。高額でまったく手が出ませんでしたけどね」。
そして、やっと念願が叶い手に入れたのがこちら。
「小学生のときは、ブレッドの価値が分からなかったんですよ。高校に入ってから、スニーカーとかファッションに目覚め始めるんですけど、その頃に読んだ雑誌で、このカラーがレアであることを知りました。
当時は数自体少なかったのでなかなか手に入れられませんでしたけど、行きつけのスニーカーショップから『出てきましたよ。どうしますか?』と連絡が来て、もう速攻で買いました」。
山下さんの場合、単純にプレーヤーが好き、スニーカーが好きというだけでエア ジョーダン1に恋い焦がれていたわけではない。
「ブレッドが登場したのは1985年。僕も同じ年に生まれたので、余計親近感がわいちゃって(笑)。スニーカーコレクションのなかではいちばんの宝物ですね」。
 
「スニーカーは、単にファションアイテム、スポーツギアというカテゴリーでは括れませんよね。音楽、映画、歴史といったそのときどきの背景と切っても切れない存在」と山下さん。だからこそ、知れば知るほどハマっていくという。
「どんなに辛いことがあっても、お気に入りのスニーカーを履いているとその日は気分がアガります。スニーカーのことを何も知らないという人でも、愛用している靴を履いたら気分が高揚するじゃないですか。僕はそれでOKだと思います。入口はそこでいい。きっと掘り下げたくなっていくと思いますから」。
その笑顔からも、スニーカー愛がたっぷりと垣間見えた気がした。
「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
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菊地 亮=取材・文 川西章紀=写真


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