いつしか夕暮れが早くなり、涼しさを感じるようになってきた。暴力的な暑さで強烈な存在感を示した夏。でも終わるのだなあ。
そんな感慨にふけっていると、不朽の名作『エンドレス・サマー』のブルース・ブラウン監督に迫ったドキュメンタリーが完成したという報せが入った。
『エンドレス・サマー』は1964年に制作された、「夏と波」を求めて旅に出る若きカリフォルニアのサーファーを追ったもの。そして本作『ア・ライフ・オブ・エンドレス・サマーズ〜ザ・ブルース・ブラウン・ストーリー〜』では、当時20代だった監督に焦点を当て、彼のキャリア、友人、家族、サーフムービー制作への思いを軸に展開していく。
制作当時、ウエットスーツは誕生していたとはいえ冬の海は冷たく、カリフォルニアのサーファーにとっても夏の終わりは哀愁漂う季節。ここではない、どこか南へ。そんな気持ちから今ほど便利ではない時代に「終わらない夏」を追った、ロマンとパッションが描かれる。
memo2017年に80歳で亡くなったブルース・ブラウンの思いを伝える本作は、息子で映画監督のデイナ・ブラウンが脚本・監督・制作を手掛けた。本作には、ジェリー・ロペスをはじめ現代のサーフィン文化を築いたサーファーたちが多く登場。
また第44回アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた、モーターサイクルレースの魅力にフォーカスする『栄光のライダー』の映像も収録されている。今後、日本でもiTunesなどで視聴できる予定。
小山内 隆=編集・文