カルチャーに帰属する感覚
平田 もともと私、コミュニティが作りたくて。それには、生い立ちが少し関係していて。東京生まれですが、小さい頃はギリシャに住んでいました。帰国後は、学校に馴染めなくて、日本では当たり前の“体育座り”ができなかったり、いろいろバカにされた(笑)。
渡辺 だから自分の居場所を求めたと。
平田 そこで自分に自信を取り戻させたのが、アートやクリエイティブといった仲間との“共通言語”でした。
渡辺 生まれ育った国ではなく、カルチャーに帰属する、そんな感覚だよね。
平田 そう。人はその根底があるから本当につながれる。最近はSNSで簡単につながれるけど、それって本物?って思う。実際に会って、その人の中身を知ってじゃないと、少なくとも私はつながれない。その意味でお店も、レコードも象徴的な存在です。
渡辺 アナログな音、物体としての重み。レコードには独特の温もりがある。
平田 レコードやアートに触れて、カルチャーの温もりを感じてほしいです。
渡辺 優しくレクチャーしてくれる?
平田 私、最初は冷たいかも。ある程度の緊張感は必要だし、本当のつながりは、その過程も大切。私の接客はあくまでお客様の興味や好奇心ありきで、そこに寄り添っていくイメージです。
渡辺 だからお客さんにもマナーとしての最低限の知識を求めるんだね。それが信頼となり人と人をつないでいく。
——店と客の対等な関係性を尊ぶ。その哲学がコミュニティを支えている。