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ポイントは全身の筋肉のバランスをとること

-前屈、側屈と、いろいろな方向に上半身を曲げていく運動ですね。動作としては単純だから、運動不足でも何とかこなせそう。
新田 : まあ、動き的には簡単に見えるでしょうね。でも、実は奥が深いんです。上は胸や肩甲骨、下は太腿まで、このふたつのエクササイズで全身の筋肉が一気に伸ばせるんですから。
例えば、太腿の筋肉が硬いと腰が引っ張られて腰痛が発生しやすくなります。さらに、ストレッチしづらい脇腹の筋肉が伸ばせるという点でもおすすめです。
このふたつのエクササイズを定期的に行うだけで、全方位の筋肉をほぐせて、筋肉の硬さのアンバランスさが取れ、腰への負担を大幅に減らすことができます。
-注意点はありますか?
新田 : 「体を横に曲げる運動」は、横に体を倒したときに骨盤が引き上げられてしまいがちです。そこをグッと我慢して、骨盤をできるだけ動かさないように、上半身だけを真横に倒すように意識してください。真横ですよ。しっかり真横に。
これで背骨と胸の横の筋肉がものすごく柔らかくなるんです。デスクワークが続くと、背骨が詰まったような状態になりますから、これは仕事の合間に行うこともおすすめします。
ちなみに、胸の横の筋肉が柔らかくなると肩甲骨の動きもよくなるので、肩こりも改善できます。
 
【体を横に曲げる運動】
ラジオ体操2.0
片手を脇の下あたりに当て、もう片方の手を横に広げたら、反動をつけてリズミカルに2回、上体を真横に倒す側屈運動。その後、両手で太腿を2拍ぶん叩いて逆側も同様に行う。左右交互に2セットずつ。
-「体を前後に曲げる運動」はちょっと腰に来そうな感じが……。
新田 :ぎっくり腰はもちろん、椎間板ヘルニアなど、腰に問題を抱えている人は、無理に体を後ろに曲げないようにしましょう。それと、ちょっと難易度は上がりますが、体を前後に曲げた時、できるだけ両腕を広げずに一定幅に保つようにすると、ストレッチ効果がアップしますよ。
 
【体を前後に曲げる運動】
ラジオ体操2.0
両腕を前に出した姿勢から、はずみをつけて前屈し、その勢いで両腕を後方へ振る。「イチ、ニ」とリズムをとり、「サン、シ」で上体を振りあげて後ろに反らす。この一連の動きを4回繰り返す。
-スピードアップして30秒全力で行うとき、両腕の位置などが意識しづらくなりますね。
新田 : スピードアップをして行う目的は、心拍数をあげてラジオ体操をトレーニング(有酸素運動)に近づけることが第一です。だから、フォームを意識しすぎて動きが緩慢になるようなら、そこまで忠実にやらなくてもOKです。
ただし、今回の「体を前後に曲げる運動」は、上体を後ろに倒すときに腰を痛めるリスクは否めないので、反動をつけすぎないことを意識してください。
●トレーニングの流れ
STEP1 ウォーミングアップ
90~100bpmの速さで「体を横に曲げる運動」+「体を前後に曲げる運動」を規定回数を行う。

STEP2 スピードアップトレーニング
「体を横に曲げる運動」と「体を前後に曲げる運動」をそれぞれ30秒間全力で行う。

STEP3 クールダウン
90~100bpmの速さで「体を横に曲げる運動」+「体を前後に曲げる運動」を規定回数行う。
【スピードアップトレーニングの動画はこちら】

「ラジオ体操2.0」
誰しも子供の頃に、一度はやった記憶があるだろう「ラジオ体操」。そのルーツは戦前までさかのぼる。そして、馴染み深い現在のラジオ体操第1は1951年、第2は1952年に正式制定されたものだ。そんな“国民的体操”を子供や高齢者のための運動と思ってはいないだろうか? それは大きな間違い!ラジオ体操は体の構造を徹底的に研究して考案された「スキのない全身運動」なのだ。これを極めれば、特別な筋トレやストレッチをせずとも体を進化させられる! 上に戻る
【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。
実践してくれた人】松森 亮さん
千葉県船橋市出身。1977年生まれのオーシャンズ世代。市立船橋高校サッカー部時代は選手権全国優勝を経験。U-20日本代表選出され、1996年にジュビロ磐田とプロ契約。引退後はジュビロ磐田で2015シーズンまで広報や運営に携わる。2020年より高地トレーニングスタジオ『ハイアルチ』吉祥寺のGMを務める傍ら、並行して、女子サッカークラブのアドバイザーやモデル業も行うなど精力的に活動中。
楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真


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