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続々と進化していく自転車

中津川 次にハンドルです。現状付いているものは2005年頃のピストバイクブーム時に流行った短めのハンドルですが、現在では長めがトレンド。
サンフランシスコを拠点に活動する「マッシュ」という自転車集団がいるのですが、彼らはいわば自転車界のトレンドセッター的な存在。約3年前に彼らが長めのハンドルを使い始めて以降、この流れが続いています。
また、本来ピストはブレーキを付けない想定で作られていますが、短いハンドルにブレーキを無理やり後付けすると、ブレーキワイヤーの配線がいびつになって格好悪いんです。
その2点を加味したうえで選んだのは、手前方向に弓状の形をしたバックスイープと呼ばれるデザイン。お洒落だと思います。
末次 洋服などのトレンドは仕事柄自然に耳にしますけど、自転車の情報はきちんとアンテナ張らないと難しいので、たまに専門店に行って話を聞かないと、ですね。
今っぽさが感じられ、街乗りにも適した長めのハンドルにカスタム。楽に体勢をキープでき、ハンドリングも容易に。併せてブレーキ部分も調整し、気になる音鳴りもなくなった。グリップはオーリーの黒をチョイス。路面からの振動を防ぐ大きなパッドのデザインが特徴だ。
中津川 最後はサドル。末次さんが持っているシートポストに合うのはこの2種類かな。
英国の老舗ブルックス、もしくはこちらもサドルでは定番のブランド、セライタリア。後者は’80年代のデザインを復刻したもので、当時物のボックスデザインはポストモダンな雰囲気もあります。
末次 どちらも甲乙つけがたい……。
中津川 でも長く乗ることを考えるとブルックスのほうが良さそうですね。レザーなので乗るほど体に馴染んでいき、経年変化も楽しめますよ。
使い古されたレーシング用サドルから、イギリスの老舗メーカー、ブルックスのレザーサドルに新調。表面はハリと光沢があり、高級感も抜群だ。サドル後部にはブランドロゴのプレートが入り、後ろ姿も抜かりない。
末次 エイジング、いいですね。ちなみに僕みたいにふらっと来店して、漠然と相談しながらのオーダーって可能なんですか? 詳しくないと足を踏み入れてはいけないんじゃないか、と二の足を踏んでる人がいそうな気がして。
中津川 いえいえ、そんなことはないですよ。何を買うか決めずに来店される方から、強いこだわりのある方まで、できる限り相談に乗るようにしています。
自転車に乗る頻度や距離、重視する性能、カラーリングなどお客さんの好みは千差万別ですが、何げない会話やその人の服装など、ライフスタイルを考慮しつつ二人三脚で理想の一台を作っていくんです。完成車を見て喜ぶお客さんの姿を見ると僕もうれしいですね。


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