彼らにとっての「自分たちの音楽」とは、コミュニティ性が強いことからも、「白人のようには生きたくない」といったキーワードで表すことができよう。 アメリカで生きていく限り、今もなお根強く残る白人中心主義の規範に従わなくてはならない。しかしながら自分たちの言葉のアクセントを変えないように、黒人文化の中で生きることを大切にし、決して白人社会に迎合することはなく、少なくともそうするつもりはないのだ。佐藤はこう解説を続ける。 「黒人は白人のように生きたくないわけです。その結果として、バックビートというような白人音楽の流れるようなリズム感に反したものが起こるんですよ。あるいは拍をくうような喋り方からもそうですよね。それがブラックのスタイルになっていって、それを今度は逆に白人の若者がかっこいいと思って取り入れる。それがポップカルチャーをつくっていて、20世紀のポップミュージックは、ほぼ黒人たちから新しい動きが起こってきましたね」 ジェームス・ブラウンの「Say It Loud – I’m Black and I’m Proud」は1968年に発表された。今年5月からのBLM運動の流れを受けて、ストリーミングサービスでの再生回数が急増しているという。