OCEANS

SHARE

がむしゃらな自分をもう一度取り戻しながら、若者を応援したい


その経験を手に、原さんが次に挑戦したのが、下北沢のコワーキングスペース「ロバート下北沢」だった。
「自分も若い頃に下北沢っていう街によく遊びにきてたんですよね。駆け出しの若者も受け止めてくれて、居心地良かった。今も、下北沢って若者が何かを求めて集まってくる街。自分もいろいろ挑戦してなんとかこの世界に生きてきたので、今度はそういう若者を応援したい」。
その若者への想いと「大人になったからこそ敢えて無茶をしたい」という願望とが合わさって新しい挑戦への原動力になった。普通、年齢を重ねれば安定を求めるだろう。でも原さんは「うまくいって安定すると、生きている実感がないから」と言う。
「がむしゃらなときって、俺今生きているな!って実感できるんですよね。中毒みたいなもんだけど、もう一回、若いときに感じていたそれを味わい直したいというのが、40代後半以降の自分がこうして働く理由なのかもしれないですね」。
 
原 大輔(はらだいすけ)●1970年長崎県生まれ。明治大学卒業後、インテリア業界に就職。Macに触れて衝撃を受ける。グラフィックデザイナーを目指し、デザイン会社に転職。2年の経験を積んで1997年に独立。食えない1年を経て、ライターやカメラマン仲間とともに仕事場を構え、活動する。2006年にデザイン会社SLOW inc.  を立ち上げる。街の中におけるパブリックスペースに興味を持ち、46歳の時に佐賀県有田にカフェ『Fountain Moutain』を作り、3年運営。50歳で下北沢にコワーキングスペース「ロバート下北沢」を作り、地域のパブリックスペースとしての発展方法を模索中。ロバート下北沢 Twitter @robert_smkt
「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。上に戻る
川瀬佐千子=取材・文 中山文子=写真


SHARE

次の記事を読み込んでいます。