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大事なのは「ここぞ!」というときに勇気を出すこと

©Yusuke Okada
カメラマンを目指しそれを叶えながらも悶々としていた日々を振り返ると、「こんなに楽しく写真を撮れる日々が来るとは思ってなかった」と岡田さん。
40代に入った今、新しい目標もある。自分の写真を誰かに届けるということだ。きっかけはこれまた偶然の出会いだった。
「ある宿で自分の写真が採用されたカレンダーがかかっていたんです。しかも、その月ではなくて、古い月の写真です。不思議に思って聞いたら『この写真が好きで、そのままにしている』と言われて。自分の写真がその人の日常の風景の一部になっている、ということに感動しました。それ以来、写真を撮ることだけでなく、誰かに届けるということをより意識するようになりました。これまでは広告や雑誌などを通じて発表してきましたが、これからは写真展や写真集など、自分の手で届けることをもっとやっていきたいと思っています」。
昨年は初のネイチャー写真集を刊行し、初個展を開催した。2020年は、海外での新作撮影は難しいが、その分、これまでに撮った写真と向き合う時間ができたので、クジラとイルカの写真をまとめた新作写真集と写真展の準備をしているところだという。
「やってみても自分に合わないことっていくらでもあると思うんです。だから、自分が夢中になれるものと出会うにはいろいろやってみるしかないし、合わなかったらやめて次に挑戦すればいい。ただ、僕自身がその中で大事にしてきたのは、信頼している人の言葉をちゃんと受け止めること、そして直感で『ここぞ!』というときに勇気を出すことでした」。
そしてなにより、少年時代から持ち続けた「ここではないどこか」への強い憧れが、彼の行動の原動力だったのかもしれない。
自分がときめいた瞬間を誰かの心に届けるために、彼はこれからも世界中を旅して陸上で、水中で、シャッターを切り続けるだろう。
 
岡田裕介(おかだゆうすけ)●1978年埼玉県生まれ。大学卒業後、フォトグラファー・山本光男氏に師事。2003年にフリーランスフォトグラファーとして独立。水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ乳類を、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動している。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・スミソニアン自然博物館に展示されている。また、辻仁成・GLAY・MIYAVIなどミュージシャンのライブ撮影も手がけている。2019年に写真集『Penguin Being-今日もペンギン-』(玄光社)。2020年9月にクジラとイルカをテーマにした写真集『これが君の声 青の歌』を刊行予定。http://yusukeokada.com/
岡田裕介写真展『これが君の声 青の歌』
2020年9月22日(火)~27日(日)恵比寿 弘重ギャラリー
2020年9月29日(火)~10月 11日(日)京都写真美術館
「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。 上に戻る
取材・文=川瀬佐千子 写真=田辺佳子 取材協力:surfers石垣島ダイビングセンターMOSS DIVERS


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