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直せないスニーカーはない? クリーニングの松竹梅

今回のスニーカークリーニングは、単純な“お洗濯”とは違う。
「ここで提案するクリーニングは、僕がこれまで靴作りや修理の経験に基づいて考えたものです。スニーカー専用洗濯機での水洗いで済む場合もありますが、それだけではどうしても落ちない汚れも出てきます。そこで、オプションになりますが、シューケアのメニューも用意しています」。
勝川さんによると、加水分解や極端に劣化が進んだスニーカーでも、ある程度のところまでなら修復できるという。
勝川さんがカウンセリングの資料として用意している加水分解した状態のスニーカー。
勝川さんがカウンセリングの資料として用意している加水分解したスニーカー。これでも履ける状態に回復できるという。
「完全にもと通りというわけにはいきませんが、履けるコンディションまでには修復できますよ。あまりにもヒドい状態だとコストがかさんでしまいますが(笑)、その場合の修理に関しては、私が運営する池尻の『シュー オブ ライフ』にお問い合わせください」。
で、今回持ち込んだ2足のスニーカーはどのようなクリーニングとケアが適切なのだろうか。フェスやキャンプでガンガン履いているナイキのACGを勝川さんに見てもらうと……。
全体の埃以外にもテープも白っちゃけている。
「アッパーがすべてナイロン系の素材ですから、専用マシーンでの水洗い(『スタンダード』コース・一足700円)でイケると思いますよ」。
え? 水洗いでいいの? 砂埃が生地の奥まで入り込んでいて、自宅では全然キレイにならなかったのだが……。
「むしろ生地が強いので、ガッツリ洗ったほうがいいと思います。汚れは絶対に落ちます。あと、除菌もできますからご安心を!」。
洗濯機を回す前の下準備として靴紐は必ず緩めておく。
なるほど。わずか700円でピカピカになるのであれば、そんなに嬉しいことはない。勝川さんはまず靴紐を緩め、パーツの隙間にも洗剤が届くようにセット。そして、そのまま専用洗濯機にイン!

「これで15分ほど回したら、乾燥させて仕上げます。さて、その間にもう一足に取りかかりましょうか」。
 

ソールも破損しているスニーカーの対応策

スエードの色落ちと激しい毛羽立ちに加え、アウトソールの踵が磨り減っていたことから、ここに来るまでに実は処分も検討していた「エアウォーク ビック オリジナル」。今回のスニーカークリーニングの実力を計るには、もってこいな存在かもしれない。

「こちらはコンビ素材などに適した『ハイブリッド』(一足1500円)というメニューが良さそうです。クリーニングをしつつ部分ごとに補修を行えば、いい感じに復活するはずです。踵からの水の侵入を防ぐ修理もしたほうがいいですね」。

先程とは全然違うメニューに驚く。症状によってここまで対処が変わるとは、まるでスニーカーの病院じゃないか。
そして勝川さんはスポンジとネットを取り出した。
「同じく専用の洗濯機を使いますが、摩擦を防ぐためにネットに入れるんです。さらに、ネット内で両足が擦れないようにスポンジで固定します」。
スニーカーを固定するためにネットの中にスポンジを入れる。
なるほど。擦れるとスエードがさらに白っちゃけるための対応策ということか。
「洗濯機の中で無駄な動きをさせないことは重要です。静かに、キレイになってもらいましょう。では、いってらっしゃ〜い(笑)」。

先程のナイキACGと同じく、洗濯機に入ったらスイッチオン! 洗浄の旅に出発だ。


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