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「クルマの中で音楽を聴くというのは、ラジオと同じです。ですから、いかにフェス感を出すのかが大切だと思います。どのように“すごく楽しい。お金を払ってもまた来たい”と思ってもらえるのか」と、アフロマンス氏。
その言葉の通り、会場にはライトや火炎放射器の演出が用意されていた。また、山を切り崩した石切り場という会場選定も、ドラマチックさを狙ったのが理由だという。
火炎放射器による演出も見られた(筆者撮影)
クルマの窓から手を伸ばす人、サンルーフを開けてルーフに腰掛ける人、ミニバンのバックドアを開け、寝転んで音楽を聴く人。それぞれのスタイルでイベントを楽しんでいるようだ。イベントの開始当初こそ、DJや観客にも戸惑いが見られたが、1時間もすると車内の人々が外から見ても、大いに楽しんでいるのがわかった。
また、そうした音楽を楽しむ人たちのクルマの間を駆け回る人の姿も見られた。注文された食べ物や飲み物を、クルマまでデリバリーするスタッフたちだ。
演者によって飲食物を観客に手渡しするパフォーマンスも行われた(筆者撮影)
「飲食をLINEでオーダーできる仕組みにしていたのですが、予想以上に注文が入り、待ち時間ができる状況になりました。ここのオペレーションは、まだまだ改善が必要だなと思っています。同時に、フェス慣れしているお客様からは、“普段のフェスでは30分くらい並んで、ライブを見逃すこともよくあるが、待ち時間もライブを観られていい”という可能性を感じるご意見もいただきました」と広報スタッフ。
イベントの終了予定は21時。実際には、15分ほど押したようだが、最後に演者も揃っての記念撮影が行われ、21時20分ごろにイベントは終了。観客はスタッフの誘導によって1台ずつ会場をあとに。50台弱という少なさもあり、クルマの退出は15分ほどでスムーズに完了した。

ドライブインフェスのメリットは見えたか?

「実は不安のほうが大きかったのですが、想像以上でした。懸念点はあげればきりがなくて、本当にうまくいくのかと……。でも、なにが成功なのかはわかりませんが、最高でした。このイベントは、絶対に次につなげたいと思います」と、去りゆく観客を前に、アフロマンス氏は興奮冷めやらぬ様子で話してくれた。
無事にテストイベントを成功させた「ドライブインフェス」。終わってみれば、メリットが数多くあることがわかった。
まず、クルマで参加するため他の人との接触がなく、感染拡大の危険が低いことが最大のメリットだ。また、クルマで移動するため、公共交通のない辺鄙な場所でも開催が可能で、小さな子どもと一緒に家族で参加するハードルも下がる。


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