OCEANS

SHARE

寝返りを打てれば、眠りの質は高まる

たのしい睡眠
寝返りも睡眠の質を高めるうえで非常に重要な要素だ。寝返りが打てないほど狭い場所で眠ると、全身の筋肉が硬直してしまう。ソファーなどの窮屈な場所でうっかり寝てしまい、起きたら全身がバキバキになっていた。そんな経験のある人は多いと思うが、それこそまさに、寝返りが打てなかったことが原因だろう。体の同じ部位が長時間にわたって圧迫されるため、血行不良や筋肉の硬化を招いてしまうのだ。
ここで、「寝返りを打つとS字カーブの姿勢が崩れるのでは?」と考える人もいるだろう。もちろん、一晩中S字カーブの仰向け寝を維持するのは、おそらく不可能だ。しかし、寝返りは一晩中、絶えず打っているわけではない。寝具が体に合ってさえいれば、寝返りを打っていないときは、自然にS字カーブを維持した理想的な寝姿勢に戻ることが実験などで明らかになっている。
また、寝返りには布団の中の空気を循環させ、内部の温度や湿度を調整する効果もある。そういう意味でも寝具選びは重要で、寝返りが打てないほど重すぎる掛け布団や体が沈み込みすぎるマットレスは避けるべきなのだ。
快適な睡眠を得るためには、まず普段の睡眠環境を抜本的に見直してみてほしい。ただし、寝姿勢こだわりすぎて、それがストレスになったら本末転倒。朝、起きた時にすっきりと目覚めていて日中のパフォーマンスも良ければ、眠りの質も高く、寝具(寝姿勢)も良いと考えればいいだろう。
●睡眠の質を高めるコツ
・仰向けに寝る。
・体の動きが妨げられるような窮屈な場所で寝ない。
・腰痛やいびきのひどい人は横向きに寝る。
・沈み込みすぎる敷布団やマットレスはNG。
・頭の大きさの2.5倍くらいの横幅がある枕を使う。
連載「たのしい睡眠」一覧へ
「たのしい睡眠」
日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!上に戻る
篠原絵里佳=監修
管理栄養士/睡眠改善インストラクター/上級睡眠健康指導士。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験と抗加齢医学の活動を通し、体の中から健康を作る食生活を見出し、最新情報を発信している。アスリートの栄養指導経験も豊富で、食事と睡眠の観点から健康にアプローチする「睡食健美」を提唱。
楠田圭子=取材・文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。