そして残り2つのコーディネイト、印象的なのがアーガイル柄のニットブルゾンとワインレッドの、恐らくウールギャバジンと思しき’50Sジップブルゾン。
ここだけ見ると、おやっ映画の時代設定っていつだ? と誰しも疑問に思うはずです。ファッションだけではありません、この舞台となる別荘の内装、小道具の数々、完璧にスタイリングされた ’50Sなカントリーテイストなのです。もう見事としか言いようがありません。
在りし日のNYのラルフ ローレン本店、ポロカントリー売り場の作り込んだ内装のよう……。言い換えればトム・ソーヤ的、あるいはヘミングウェイ的というか。
そして、ここでもひとつピンとくることがあります。このサスペンスホラーなタッチで、’50Sな空気感で非日常を演出する感じ、デヴィッド・リンチの手法に似ています。目の前で起きることはシリアスなのに、そこにアメリカが最も輝いていた過去の栄華である’50年代を感じるオブジェクトが存在する。その対比により、グロテスクな印象に持ち込む感覚は、彼の作品である『ツイン・ピークス』から『マルホランド・ドライブ』あたりに通ずると思います。もはや米産サスペンスの定石ともいえますね。
こんな未曾有のコロナ禍ですが、もしボクが小説を生業としていて、この秘密の窓付き湖畔の’50Sな別荘に住めるなら巣籠もり大歓迎!? スタイルのある巣籠もり、憧れます。
オヤジに似合うアメカジ・グランジな部屋着はこんな感じ? 1_カウンターカルチャーを感じさせるタイダイは落ち着いたブルートーンが大人らしい。スウェットシャツ5446円、スウェットショーツ6355円/ともにバナナ・リパブリック 0120-77-1978 2_オールドアメリカンなペンドルトンの「ソノラ」柄をダークトーンで仕上げたライトな素材のセットアップ。シャツ2万7000円、ショーツ1万5000円/ともにペンドルトン フォー ワイルド ライフ テーラー(ワイルド ライフ テーラー 0120-298-133) 3_カート・コバーンよろしくオンブレチェックをさらっと。家なら薄手のガウンで。4万8000円/マインデニム(マインド 03-6721-0757) 4_ジョニー風の落ち着いたトーンの織り柄ストライプが渋いセットアップはLAブランドより。シャツ2万5000円、パンツ2万9000円/ともにRHC&MAS(RHC ロンハーマン 045-319-6700) |
小林 学●1998年に自身のブランド「スロウガン」を設立。旧き佳きアメカジに精通し、2019年にはヴィンテージを現代的にアップデートさせる「オーベルジュ」の展開もスタート。その知識を活かし、YouTubeで「AUBERGE」チャンネルを開設したのでチェックを。
鈴木泰之=写真 星 光彦=スタイリング