21世紀に蘇った国産Tシャツのオリジン
1万1000円/久米繊維 https://kume.jpKUMESEN-I 久米繊維日本では、それをまだ“Tシャツ”と呼んでいなかった。1950年代半ば、東京・墨田区にある久米繊維の「色丸首」は、既に世に生まれていた。当時はメリヤスと呼ばれる肌着の扱い、日本ではフラワームーブメントが起こる70年代まで、それ一枚で着ることがほとんどなかったものだ。
時代は変わって21世紀。この老舗の4代目が、当時の味わいと現代の技術を融合させて、国産Tシャツの原点ともいうべき「色丸首」を復活させた。
当時の資料を紐解き、綿花の厳選から、紡績、編み立て、染色、裁断といった各工程を検証。通常ではTシャツに使われないような超長綿の双糸を用いて、自然なシャリ感としなやかな肌触りを再現したのだ。さらに、筒状に編むためにサイドシームが発生しない、昔ながらの丸胴編みのボディとすることで、時間をかけて編まれたゆえの優しいフィット感が得られている。

同社がこだわるのは、日本製。60年代より続く千葉の工場では、各工程のスペシャリストの熟練した手仕事によって、長持ちする高い品質を実現している。端材の出にくい丸胴編みとともに、サステナブルの点でも同社のポリシーを満たしているといえるだろう。
カラーバリエーションは、和のテイストを採用。「利休鼠」と呼ばれる写真のTシャツの色は、グレイッシュなオリーブカラーが奥深い。このほか、基本となる白に加えて「紺青」「栗梅茶」「璃寛茶」など、日本の伝統色に基づいたベーシックな全10色。他の服との合わせやすさと個性が共存するチョイスも、現代の目線を持つ4代目らしいセンスの賜物だ。
ヘリテージに立ち返り、時代にかなった物作りを果たした本作。日々肌に触れる相棒とするには、論を待たないものなのだ。
清水健吾=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、いくら直幸、秦 大輔、今野 塁、菊地 亮=文