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ダイエット成功のカギを握る3つの食欲ホルモン

たのしい睡眠
肥満に直結するホルモンは、成長ホルモンだけではない。最近注目を集めているのが「レプチン」「グレリン」「セロトニン」という3つのホルモンで、いずれも食欲をコントロールする働きを持っている。
●食欲抑制ホルモン「レプチン」
食欲を抑制し、エネルギー消費量を促すホルモンで、「痩せる」という意味をもつ「レプトス」というギリシャ語が語源。人間は、レプチンが脳の視床下部に作用することで満腹感を覚える。しかし、睡眠が不足するとレプチンの分泌量が減少し、満腹感を覚えづらくなる。その結果、食欲の抑制がきかなくなり、食べ過ぎてしまうことになる。
●食欲増進ホルモン「グレリン」
レプチンとは逆に食欲を増進するホルモン。グレリンの分泌量が多過ぎる人ほど、食欲の抑制がきかなくなる傾向に。そして、睡眠不足の人ほどグレリンの分泌量が多いことがわかっている。5時間睡眠の人は8時間睡眠の人よりも15%ほどグレリンの分泌量が多いという実験データも発表されている。
●食欲調整ホルモン「セロトニン」
脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料となるホルモンで、睡眠の質を高めるうえで必須のホルモンといわれている。さらに、精神を安定させ、食欲コントロールする働きもある。セロトニン不足になると、視床下部にある満腹中枢への情報伝達が滞り、食べ過ぎが助長されてしまう。
これらのホルモンの分泌異常がみられる人の多くが、睡眠時間が短く肥満度が高いことが判明しており、睡眠不足と肥満との関連性がより明確になってきたのだ。つまり、いくら食事量を減らしたり、運動をしたりしても、睡眠に問題を抱えている限り、こういったホルモンが正常に分泌されないので、ダイエットを成功させることは難しいということだ。
外出自粛生活やリモートワークが続くことで、食べ過ぎや運動不足による肥満を懸念している人も多いだろう。しかし、自分の裁量である程度時間をコントロールしやすい今こそ、体を痩せ体質に変換するチャンスと捉えることもできる。この機会に乱れた生活のリズムを整え、十分な睡眠時間を確保し、デブ体質改善にチャレンジしてはいかがだろうか?
【太らない体になるための睡眠法】
・7~8時間の睡眠時間を確保する。
・できる限り同じ時間に寝て、同じ時間に起床する。
・食事は就寝3~2時間前までに済ませる。
・パソコンやスマートフォンは就寝1時間前まで。
・夕食は低脂質、高たんぱくの食事を心がける。
・寝酒を控える。
・就寝前に軽いストレッチを行う。
・室温を夏場は26℃、冬は16~19℃に保つ(オフタイマーを使用する場合は、最低でも入眠後の90分以降にスイッチオフになるようにセットする。熱帯夜はひと晩中エアコンをオンに)。
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「たのしい睡眠」
日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!上に戻る
篠原絵里佳=監修
管理栄養士/睡眠改善インストラクター/上級睡眠健康指導士。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験と抗加齢医学の活動を通し、体の中から健康を作る食生活を見出し、最新情報を発信している。アスリートの栄養指導経験も豊富で、食事と睡眠の観点から健康にアプローチする「睡食健美」を提唱。
楠田圭子=取材・文


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