夜ランは就寝の3時間前、飲食は2時間前まで!
成長ホルモンは、入眠後、深く眠りについている3〜4時間の間に最も多く分泌されることがわかっている。しかしそれは、適正量のメラトニンが分泌された上でのことだ。ここからは、メラトニンの分泌を促すための具体策を解説していこう。
ホルモン分泌サイクルの乱れの影響を受ける代表的なものに自律神経がある。体を活発化させる交感神経と、体を休める副交感神経からなり、日中は交感神経、夜は副交感神経が優位になるのが正常だ。深い眠りのためにはまず、夜に交感神経を鎮め、副交感神経神経優位な状態に持っていかないことには始まらない。
では交感神経を鎮め、メラトニンの適正な分泌を促して深い睡眠を得るにはどうしたらいいの? 答えはズバリ、規則正しい生活リズムにある。例えば食事時間。最低でも就寝2時間前には終わらせたい。食事は交感神経を刺激してしまうため、寝る直前に食事をとると、副交感神経の働きを高めることができない。
夜に激しい運動をするのも避けたほうがいい。新型コロナウイルスの影響による運動不足解消のため、夜にランニングやウォーキングをする人が急増しているようだが、これもメラトニンの分泌を妨げる大きな要因となるだろう。
ランニングのような強度の高い運動をするなら、少なくとも就寝の3時間前までに終わらせること。それ以降は強度の低いストレッチ程度にとどめよう。そもそも運動によって眠りが浅くなれば、筋肉の修復も滞るので期待する効果は得にくくなる。それでは本末転倒だろう。
もうひとつ、就寝前に交感神経を鎮め、副交感神経を優位にするうえで効果的なのがアロマだ。リラックス効果のある精油の芳香分子が、鼻粘膜から血液循環に取り込まれることで血行が改善されたり、大脳辺縁系に伝わって脳をリラックス状態に導いてくれることがわかっている。下記に就寝前にオススメのアロマオイルをピックアップした。深い眠りのために、ぜひ参考にしてほしい。
●副交感神経を優位にして心身をリラックス状態に導く精油
・ラベンダー(ラベンダー・スピカは、妊娠中の人の使用はNG、香りをかぐ程度ならOK)
・イランイラン
・ネロリ
・オレンジ・スウィート
・ベルガモット
・フランキンセンス
連載「たのしい睡眠」一覧へ「たのしい睡眠」日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!
上に戻る 篠原絵里佳=監修
管理栄養士/睡眠改善インストラクター/上級睡眠健康指導士。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験と抗加齢医学の活動を通し、体の中から健康を作る食生活を見出し、最新情報を発信している。アスリートの栄養指導経験も豊富で、食事と睡眠の観点から健康にアプローチする「睡食健美」を提唱。
楠田圭子=取材・文