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ストレッチを日々意識的に行わないと、日常生活の中では必要ない柔軟性がどんどん失われ、どんなに鍛えた人でも「普通の人」になっていきます。
前屈で手がベタっと床につくというのは、体の柔軟性を表す1つの指標です。
そこで今回は、前屈ができない参加者の皆さまから「魔法みたい」と言われる、簡単なエクササイズをご紹介します。

最短で効果を出す“トップギアストレッチ”

先述したとおり、私の確立したストレッチは、「PNF(脳科学)」×「筋膜リリース」の2つの科学的アプローチの観点を取り入れたものです。
PNFとは、もともとリハビリの世界で発達した筋コンディショニングの手法であり、筋肉を強く収縮させた後に弛緩させることで脳の運動系の神経を刺激し、短時間で筋肉や関節が本来持っている可動域を覚醒させるというものです。このPNFに基づくエクササイズを「脳科学アプローチ」と呼んでいます。
筋膜という名前は近年、よく耳にするようになりました。筋膜は全身を覆っている薄いボディスーツのようなイメージで、筋肉を保護したり、結合したり、円滑に動かせるようにする働きがあり、「第2の骨格」と言われるほど重要な役割を持っています。
この筋膜はずっと座っていたり、スマホを見続けたり、いつも右手でカバンを持って歩いたり、といった普段の生活のなかで一部の筋肉を使わずにいたり、逆に一部に負担をかけたりすることでどんどんゆがんでいきます。軽微な歪みは入浴・睡眠で解消されますが、ゆがみを放置すると次第に筋膜は固着して動きが悪くなってしまいます。
『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)
『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)
それが長年蓄積されると筋膜はいつしかガチガチにコリ固まり、筋肉や関節の可動域を制約するようになっていきます。
固着した筋膜のゆがみを正し、あなた本来の可動域を取り戻すエクササイズが筋膜リリースです。
前屈の際には頭から足裏まで体の後ろ側全体が伸びるのですが、ここでは経験上、とくに効果の大きい3カ所(足の裏/ふくらはぎ/ももの裏面)を取り上げます。
これらのストレッチは、最短で効果を出す“トップギアストレッチ”です。体の硬さには絶大な自信があった57歳の男性が、たったの8分のストレッチで床に指がつくようになるといった例も多数ありますし、今では「柔軟王子」というありがたい愛称をいただいている私も、27歳まではガチガチの超合金のような体でした。


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