「たのしい睡眠」とは……十分な睡眠時間が免疫力を高めることは医学的に明らかだ。と同時に、仕事の質を高めるうえでも非常に重要なのは言うまでもないだろう。理由はシンプルだ。心身が健全な状態でないと良い仕事はできない。
近年、心身を健康へと導くためには、「量より質」の睡眠法をとることが重要と言われているが、はたして「量」に重きを置く必要はないのだろうか? そこで今回は、「睡眠の量」にフォーカスしていく。
徹夜自慢をするヤツほど仕事ができない
前回、睡眠の質の重要性について解説したが、やはり量が足りなければ心身の疲れをとることは難しい。なぜなら、睡眠の前半は肉体疲労回復、後半は脳疲労回復と、1回の睡眠で役割が分担されているから。
眠りが深い時間帯と浅い時間帯のサイクルが一晩で平均4~5回繰り返されており、眠りが深い前半の2サイクルくらいが主に肉体疲労、残りのサイクルは脳疲労の回復が行われている。つまり、最低でも4~5サイクルが繰り返される「量」をとらないと、心身両面の回復は不十分となってしまう。
睡眠不足によって後半のサイクルが欠けてしまうと、「とっさの判断力」や「対応力」が低下する。その日に記憶したこと、学習したことに付箋をつける時間と言われているからだ。言い換えれば脳内を整理する時間ということ。寝不足の状態では、脳にいくら知識がストックされていても、必要なシチュエーションで、必要なアウトプットができずに無駄になってしまうのだ。
「徹夜をして仕事をこなした」「仕事が忙しくてあまり寝てない」なんてことを自慢する人がよくいるが、それはナンセンスであることがわかるだろう。そんな生活を続けていれば、脳内は雑然とした状態となり、判断力は鈍るわ、クリエイティブな発想もできなくなるわけで、長期的にみれば仕事の評価を上げるどころか、下げることになりかねない。もちろん、肉体疲労がとれないし、免疫力も低下するわけだから、体調管理も難しくなる。
特に40代、いわゆる「中年」になったら、徹夜仕事は避けるべき。一説によれば、加齢に伴い体内時計のリズムは徐々に朝型になってくるという。その結果、心身が夜型の生活に適応できなくなっていく。当然、徹夜で仕事をしたって能率は一向に上がらないだろう。
仕事が残っていても無理せずしっかり寝て、翌日の日中に集中してこなすほうがずっと効率的なのだ。また、安眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」も加齢とともに分泌量が減ることから睡眠自体が浅くなりがち。そこに睡眠不足が重なることでますます心身の疲れが蓄積してしまうことになる。
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