ダイビング専門誌の専属カメラマンとしてキャリアを始めた高砂淳二は、文字どおり世界中の海と秘境を旅してきた。
撮影目的で日本を離れるのは年に十数回。写された美しき地球の姿は数えきれず、汚されていった姿を目にした経験も数限りない。
そんな変わりゆく自然の“目撃者”による最新刊が『光と虹と神話』であり、本書には厳選された34カ所の写真とエピソードが綴られている。まず、いずれの写真もスケールが圧巻。さらにテキストには、ガイド的、歴史的、天文学的、生態学的、そして現代の世相といった要素が含まれる。
それはつまり、コスタリカの野生動物に対する施策に優しい気持ちになれたり、マリアナ海溝にプラスチックゴミが蓄積されていると書かれた一文にハっとさせられる、ということ。読後には、改めてこれらが日常の延長線上にあることに気付き、本書の壮大な物語と日々の暮らしとがどこかでつながっていることにうれしさを覚えるのだ。
memo序文から「今の人の暮らしは地球のエコシステムを超えている」という厳しい言葉が記され始まる本書。しかしその厳しさは、自然環境を撮り続けた者であり、自然の美しさに魅せられた者ゆえであることは優しく凛々しい写真と文章に触れればすぐにわかる。
掲載されているのは、ウユニ塩湖(ボリビア・写真上)、コーヒーベイ(南アフリカ)、グリーンランド(デンマーク領)、小笠原(日本)など世界の絶景&秘境の数々だ。
高砂淳二=写真 小山内 隆=編集・文