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シリコンビーチは実験エリア、5G運用開始は2018年から

「隣近所の人との日常会話の中に、最先端の情報がさらりと出てきます。これはこの地ならではのメリット。ものすごく刺激になりますね」と世野氏は言う。
「プラヤビスタ」の邸宅で(写真提供:世野いっせい氏)

「彼らが言っているのが、数年も経たないうちに、今会社に毎日通っている人の約70%は在宅で仕事するようになるということ。私は常々不動産という切り口から物事を見ているので、『ああ、近い将来オフィス賃貸は難しくなるな』と思いました。実際、不動産のトレンドも変わってきています。
アメリカというとこれまでは広い庭付きの一軒家でしたが、最近ダウンタウンのど真ん中では、日本の都市部に存在するような超高層マンションが人気になってきています。在宅勤務が一般的になることで、人と顔を合わせる時間が減ってきた。そこで、逆に人とのコミュニケーションを求めるようになった若い人たちが、お互いに近隣のエリアに住み、仕事が終わったあとに歩いてカフェやレストランに集い、雑談するというライフスタイルを求めるようになってきたからです」
シリコンビーチ風景(Getty Images)
日本も「時差」はあるものの似たような流れがくるはず。なので、同じような現象が起こる可能性は高い、と世野氏は分析する。IT化の流れが不動産にも変化を及ぼす、ということだ。
日本でも、いよいよこの春に次世代通信5Gがはじまったが、シリコンビーチは実験エリアとして、2018年からすでに5Gが使われているという。
「私の家でもWi-Fiをつけると、スマホのWi-Fiネットワークの中に『+5G』と表示されます」と世野氏。さらに、エリア内での郵便配達車は一部自動運転。人間は運転を車に任せて、目的地に止まったら荷物を運ぶだけだ。これは通信の遅延がなく、回線が切れない5Gだからこそできるワザである。

2時間の映画が3秒でダウンロードできる

最近は耳にすることも多いと思うが、5Gの何がすごいかというと、そのスピードである。
わかりやすく言うと、高速で大容量。遅延しないし途切れないのである。たとえば、従来の2時間程度の映画を5Gなら3秒でダウンロードできると言われている。今のインフラではとても考えられないスピードである。スマホで簡単に長編動画を観ることができる。
ところで、アメリカの5Gと日本のそれの質は大きく異なっている。日本の5Gは通信速度が27Gbpsと言われている。一方アメリカの5Gの速度は1.2Gbps。日本で現在使われている4Gの速度と大差ないのである。日本は開始時期こそ遅れを取っているように見えるが、その内容は格段に上である。


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