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就寝直後の約2時間が眠りの質の良し悪しを左右する


睡眠の質を根本から改善する最大のポイントは、「ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルを維持すること」だ。睡眠の1サイクルは約70~110分とされ、深い眠りのノンレム睡眠から始まり、徐々に浅い眠りのレム睡眠へと移行。この1サイクルを一晩で平均4~5回、一定のリズムで繰り返していく。もし「夜中に目が覚める」なんてことがあると、基本の睡眠サイクルを乱すことになり、睡眠の質の大幅な低下につながってしまう。
特に眠りが深くなるのが、最初の1サイクル目で、その後のサイクルで徐々に眠りが浅くなっていくことで自然と目覚める、というのが眠りの基本メカニズム。そして睡眠の質を高めるうえで特に注意すべきなのも、最初の1サイクル、つまり就寝直後の約2時間だ。
なぜなら、この時間帯に損傷した身体組織の修復や肉体疲労回復に必要不可欠な「成長ホルモン」の分泌が集中しているからである。したがって就寝直後の約2時間で眠りが浅いと、肉体疲労がとれず、免疫力を高めることもできなくなってしまう。
「就寝前、TVや照明を消さないままうっかり寝てしまう」。そんな人は最初の1サイクルで眠りが浅くなるので注意。また、成長ホルモンが分泌されるときに発汗量が多くなることに備え、就寝前に水分を適量とっておくことも、脱水で目が覚めることを防ぐのに効果的だ。
ここで、最初の1サイクルの眠りを深くし、成長ホルモンの分泌量を増やすのに効果的な7つのコツを紹介しよう。ひとつでも多く実践すれば、良い睡眠、さらには免疫力アップまで期待できる。
【1サイクル目の眠りを深くする7つのコツ】
[1]就寝1時間前までに湯船につかる。湯の温度は38~40℃程度(心地良いと感じる温度)。
[2]就寝の最低でも1時間前からは、PCやスマホの画面を見ない。寝室の照明は、暖色系のものを使用し、LEDライトは避ける。
[3]コップ1杯(約200~250ml)の水を就寝前に必ず飲む。ただし、糖の入ったものは避けること。
[4]体温が高いままだと眠りが浅くなるため、就寝時には夏場は氷枕などを使って頭を冷やし、冬場は足元を温めて体温を下げる。
[5]室温は、夏場は26℃、冬は16~19℃に、湿度は50%程度に保つ。
[6]食事は最低でも就寝2時間前には終わらせる。深酒&寝酒はNG!
[7]筋トレや夜ランなど、強度の高い運動は就寝の3時間前まで。就寝前は軽いストレッチ程度にとどめること。
日々、忙しく働く40代にとって、多少の睡眠不足は避けられないケースが多い。そんなときこそ「睡眠は量より質」という意識が大切。
睡眠の基本サイクルを乱さないコツを押さえて実践することが、心身の健康を保ち続ける基本なのだ。
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「たのしい睡眠」
日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!上に戻る
篠原絵里佳=監修
管理栄養士/睡眠改善インストラクター/上級睡眠健康指導士。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験と抗加齢医学の活動を通し、体の中から健康を作る食生活を見出し、最新情報を発信している。アスリートの栄養指導経験も豊富で、食事と睡眠の観点から健康にアプローチする「睡食健美」を提唱。
楠田圭子=取材・文


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