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製品を考える手法は、ヒップホップのそれと似ている

ペレグリン・デザイン・ファクトリー
天板をマジックテープで固定する発想は、ミステリーランチのバックパックのサイズ調整方法からヒントを得た。
手掛けるギアは、どれも思わず唸らされるような細かいギミックやアイデアが光る。形にするまでの手法は独特で、まるでヒップホップのサンプリングのようなものだという。
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アウトドア誌だけでなく、海外の建築雑誌やアメコミ、宮大工の専門書などもアイデアソースとなっている。
「まずは気になる要素を徹底的に集めます。そこから組み合わせを考えつつ、ちょっと捻ったり、素材を変えてみたり。つまり、カット&ペーストですね。既存のアイデアも、組み合わせ次第で新しいものとして生まれ変わります」。
確かに、これはさまざまなサンプルソースやリズムパターンを組み合わせるヒップホップの曲作りに似ている。
ペレグリン・デザイン・ファクトリー
フレームの固定方法は、宮大工の工法を参考に。製品はアメリカンな雰囲気が漂うが、ディテールには日本ならではの発想が盛り込まれている。

見えないところまでこだわる、小さな積み重ねが大きな違いを生む

ペレグリン・デザイン・ファクトリー
ウイングテーブルをふたつ折りにするためのパーツは、既存のもので納得いくものがなく、結局オリジナルで作ってしまった。
もちろん、アイデアだけがこのブランドの特異性ではない。素材や細かいディテール、パーツに至るまで手を抜かない。その具合が異常なほど(褒め言葉です)マニアックなのだ。
例えば、日本の自然へ少しでも還元できるようにと、木材は可能な限り、国内の森林資源を活用している。そして、そのディテールにもこだわりが満載。このテーブルの天板や脚をよーくご覧いただきたい。
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よく見ると、天板の小さな板1枚1枚の角が面取りされていることがわかるだろう。
「角は丸く仕上げる方が楽なのですが、そうすると柔らかい印象に仕上がりすぎる。手間はかかりますが、うちは敢えて面を出すように仕上げています。ここの部分、分かりますかね?」。
オーダーが細かいし面倒なので、工場の職人さんには嫌がられているのだと笑う見城さん。正直、言われなければ気が付かないほどのこだわりだが、この小さな積み重ねが、類似品が増え続ける市場でも一線を画す仕上がりを生んでいる。
同じ食材でも、切り方や火の入れ方、盛り付けで大きな差が出る料理の世界にも通じる職人技だ。
ペレグリン・デザイン・ファクトリー
足の側面、底面に至るまで、細かい仕事が見て取れる。
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鍋敷き用の細かいパーツの面取りも、もちろん抜かりなし。


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