製品を考える手法は、ヒップホップのそれと似ている
手掛けるギアは、どれも思わず唸らされるような細かいギミックやアイデアが光る。形にするまでの手法は独特で、まるでヒップホップのサンプリングのようなものだという。
「まずは気になる要素を徹底的に集めます。そこから組み合わせを考えつつ、ちょっと捻ったり、素材を変えてみたり。つまり、カット&ペーストですね。既存のアイデアも、組み合わせ次第で新しいものとして生まれ変わります」。
確かに、これはさまざまなサンプルソースやリズムパターンを組み合わせるヒップホップの曲作りに似ている。
見えないところまでこだわる、小さな積み重ねが大きな違いを生む
もちろん、アイデアだけがこのブランドの特異性ではない。素材や細かいディテール、パーツに至るまで手を抜かない。その具合が異常なほど(褒め言葉です)マニアックなのだ。
例えば、日本の自然へ少しでも還元できるようにと、木材は可能な限り、国内の森林資源を活用している。そして、そのディテールにもこだわりが満載。このテーブルの天板や脚をよーくご覧いただきたい。
「角は丸く仕上げる方が楽なのですが、そうすると柔らかい印象に仕上がりすぎる。手間はかかりますが、うちは敢えて面を出すように仕上げています。ここの部分、分かりますかね?」。
オーダーが細かいし面倒なので、工場の職人さんには嫌がられているのだと笑う見城さん。正直、言われなければ気が付かないほどのこだわりだが、この小さな積み重ねが、類似品が増え続ける市場でも一線を画す仕上がりを生んでいる。
同じ食材でも、切り方や火の入れ方、盛り付けで大きな差が出る料理の世界にも通じる職人技だ。
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