デニムのように経年変化するバッグ、驚異のブームに
バッグブランドのハーヴェスト・レーベルが大阪で産声を上げたのは1995年。翌年には、国内外でバッグデザイナーとして名を馳せていた山口幸一氏が中心となり、フライヤーズを発表する。
耐久性、防水性に優れた高密度のナイロンツイルを使ったバッグは、手作業の縫製にこだわったため日本国内の工場でのみ生産された。
軽くてタフ、しかも合わせる服やシーンを問わない“シンプル顔”が話題となり、瞬く間に看板シリーズに。程なく全国から注文が殺到したという。生産数も少なく、発売されるとすぐに売り切れたため、コレクターズアイテム化した
モデルも数知れず。
フライヤーズの最大の特徴は、アメリカ空軍のパイロットが着用していたMA-1をイメージさせるツイル素材にある。経糸が100D(デニール)、緯糸が200Dのオリジナルの割合で織り込まれたファブリックは、ナイロンにもかかわらず経年変化で味わいが増し、こなれた表情になっていくのだ。
「デニムのように長年使うことで完成するバッグ」。山口氏は常々、フライヤーズをそう表現したという。
ところがそんな愛すべきバッグたちも、パーツの高騰や職人の減少によって、残念ながら2010年に生産終了となった。
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