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「自分が幸せならいい」という働き方

リトルトーキョー
ナカムラさんは、もっと多くの人たちが自分にとって心地良い暮らし方や働き方を模索してもいいんじゃないかと話す。
「大切なのは人と比べないこと。まずは軸足を自分と目の前の人にだけ絞っていいと思うんですよね。『なんで私ばっかり……』と思うよりも、目の前の人や仕事とどう関わるか。情報が溢れているからこそ身近な場所を大事にすると、どんな暮らしが自分にとっての正解なのか、よく見えるようになってくるはずです」。
あくまでナカムラさんがこだわるのは実際に目で見て、言葉を交わし、感じること。インターネットの世界ではなく、自分自身の暮らしを見つめ続けた末のナカムラさんの正解が「生きるように働く」だったわけだ。
「今って、新型コロナウイルスの影響でトークイベント『しごとバー』をオンライン開催しているんですけど、いつも最後には『早く会いたいね』となるんです。結局、みんな会いたがっている。1カ月ほど前はオンラインが進んで、テレワークになって便利だねと話していたけど、すでにテレワーク疲れが生まれていて。アフターコロナになったら、テレワークも進むけど、会うことの大切さも深まると思います」。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、なかなか人に会うことができない今だからこそ、ナカムラさんの言葉はより深く心に染みる。インターネットでどれだけ情報が手に入ろうとも、オンラインでチャットや会話ができても、やはり私たちはそれだけでは満足できない。
「人に会って、実際に目を見て、話す」。そんな当たり前の幸福な日常が戻ったとき、「人の存在を感じられる場所」であるリトルトーキョーはさらに輝くに違いない。
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「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。 上に戻る
藤野ゆり=文 河野優太=写真


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