②『美味しんぼ』全111巻、2万4224ページ
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東西新聞の記者、山岡士郎(やまおか・しろう)が、非凡な味覚と食への関心を持つ同僚、栗田ゆう子(くりた・ゆうこ)と組み、同社の100周年記念事業「究極のメニュー」の作成にとり組むところから物語は始まる。
ふたりは偶然にも著名な美食家、海原雄山(かいばら・ゆうざん)と出会うのだが、実は山岡と海原は血の繋がった親子。山岡の母親の死をめぐり深い溝があることが発覚する。その後もたびたび山岡と海原は出くわし、「究極のメニュー vs 至高のメニュー」と銘打ったと料理対決が繰り広げられていく。
主人公の山岡士郎が料理人の前で容赦なく料理をこき下ろす姿はヒヤヒヤもので、例えば「こんな店の寿司よりスーパーのパックのほうがよっぽどうまい」といった調子だが、それは彼なりに「偉そうな店」というモットーがある。舌鋒鋭い批判は読んでいて痛快でもある。
作中でふんだんに盛りこまれる食のウンチクやバラエティに富んだ料理の数々は、本物の料理のプロたちをも唸らせるほどレベルが高く、読んでいてとても勉強になる。また、食品の生産方法や食品添加物など、食を通して社会問題に光を当てたという功績も大きい。
映画化、ドラマ化、アニメ化など、マンガの枠を超え、広範囲でファンを獲得。作品を通して日本の食文化に大きく貢献し、国民の“食リテラシー”を1段階上げたと言っても過言ではない名著だ。現在111巻で休載中。
3/3