“宇宙ゴミ”を使ったスニーカーを開発するなど、サステイナブルなプロダクトが注目されるナイキだが、彼らの「Move to Zero(ムーブ トゥ ゼロ)」という取り組みをご存知だろうか。
スポーツの未来を守るために、フットウェアの生産過程で排出される二酸化炭素と廃棄物ゼロを目指す活動で、それが今夏カプセルコレクションとして形になる。そう、こんな感じに。
見た目はクラシックなスウェットやTシャツ。だがその中身を知れば、ナイキのこの取り組みへの本気度の高さがわかる。
すべてのプロダクトに再生ポリエステルとサステイナブルコットンをブレンドした素材を使用し、生産過程で排出される二酸化炭素の量を最小限に留めることに成功。また生地を裁断するときにはパターンの配置を工夫し、その90%以上を使用することで無駄の削減にも努めた。
さらに「Nike ColorDry(ナイキ カラードライ)」という染色技術を取り入れたのも、このコレクションの特徴だ。
通常、Tシャツを1枚染色するのには約30リットルの水が必要で、その汚水が環境
にダメージを与える。その点、Nike ColorDryは、水ではなくリサイクル可能な二酸化炭素の超臨界流体(気体と液体の区別がつかない状態のもの)に染料を溶かして布を染色するため、汚水をほとんど排出しない。
地球環境に優しい素材や技術を使っているからと
いって、「
自分にまでは優しくないんじゃない?」って思うかもしれない。だが袖を通せば、その考えは間違いだったと気付くはず。快適さを重視した柔らかな生地感とゆったりしたシルエットで、着心地も最高なのだから。
サステイナビリティがファッションに欠かせない要素となった今、ブランドの取り組みまでも理解してこそ、真に“洒落た”と言えるのかもしれない。ナイキの「Move to Zero」コレクションのリリースは、環境とファッションの関係を見つめるいい機会となりそうだ。
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