こちらのセリーヌのトレンチコートは、ややこしい理屈抜きに「デニムで着たい!」と思わせる。
頭の中でコーディネイトしてみよう。濃い色のデニムにも、薄い色のデニムにも絶対合う。もちろんブラックデニムにも。おそらくこの色みが絶妙なのだ。
生地はコットンギャバジン。フラップ式の肩ヨーク、バックル付きのウエストベルト、ホーンボタンなど、素材や各ディテールはオーセンティックなトレンチコートの仕様を踏襲している。型の中でどれだけ遊べるか、ってことですな。
さらに言えば、「トレンチコートというアイテムの可能性」を探っているフシもある。トレンチにカモフラージュ柄(どちらもミリタリー由来ではあるが)はマッチするのか。昨今のトレンドであるオーバーサイズフィットで成立するのか。セリーヌのクリエイティブ・ディレクターを務めるエディ・スリマンの、可能性へのチャレンジを感じることができる。
新しい服に袖を通すとワクワクする。その理由は、新しい可能性を肌で感じているからなのかもしれない。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文