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音楽で培ったチームワークで

「生産やPRはそれぞれのスペシャリストにお願いしています。餅は餅屋ですからね。まるっと任せたら、あとはメール・ベースで確認するくらい」。
当初から分業制を採ってきたものづくりは、音楽活動にも通じるところがある。白川が所属するバンドは異なるジャンルで活動してきた人間が集まってできた。すでに結成から四半世紀が経つバンドは、ハードコア、パンク、ヒップホップ、レゲエ、スカといった要素を盛り込んだ楽曲を特徴とする、ミクスチャーバンドの草分け的存在。
ミクスチャーとは、1+1を3にも4にもするアプローチだ。
オルフィックのものづくりはむしろ、「近頃のレコーディングそのものです」と白川は言う。今どきはみんながスタジオに集まって録音するのは稀で、各人がそれぞれ録ったデータをネットでやりとりするのが基本というから、確かに似ている。

メシを食うための仕事じゃない

オルフィックは来年、10周年を迎える。
「9年続けることができたのは、大事な存在ではあるけれど、決してメシのための仕事と捉えていないから。ひとつにすがっていない、というのもあるけれど、そもそもメシ食うだけならなんとかなるって思ってますもん。なんで、飽きたら辞めちゃえばいいってスタンスでやっていますね。それくらいのノリだから続けてこられたともいえる」。
基本はシューズだが、バッグも展開中。各2万5000円/オルフィック(アルファPR 03-5413-3546)
「かつて服のブランドも手掛けたこともあるんですけど、気付いたらバンドのグッズみたいになっていた。だから、辞めました。そんなわけで、聞かれれば話さないこともないけれど、オルフィックを語る場面ではミュージシャンとしての自分を押し出していません」。
そう語る白川の表情からは、あくまでもプロダクトとして評価してもらいたい、という自負が透けて見えた。ゆるくやっているように見せて、それは一種の照れ隠しなのだ。普段はコワモテなのに、笑うととってもチャーミングで、そんなところからも彼の性分は伺える。
「オルフィックというブランド名は、それこそ音楽の現場で培ったものが役立っています。作詞をするときは英英辞典片手に行ったりするんですが、オルフィックも同じ作業の中から生まれました」。
「オルフィック(ORPHIC)」はギリシャ神話にもある言葉で、不思議な、とか、怪しい、とか、神秘的な、という意味になる。
「まずシンメトリーっぽいのがいいなと思って。ロゴっぽいでしょ。それにね、僕はいってみればそれまでにない靴を作ったわけで、我ながら相応しいネーミングだと思いました(笑)」。
 
白川貴善(しらかわたかよし)●シューズブランド「オルフィック」ディレクター。2011年にオルフィックをローンチ。BACK DROP BOMB、AA=、Noshowのボーカルも務める。
 
[問い合わせ]
アルファPR 03-5413-3546
竹川 圭=取材・文


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