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ドレスシューズ由来の木型と製甲

ファーストコレクションに並んだのはウイングチップにスニーカーソールを掛け合わせた「ヘリオン」。今もブランドの顔としてクリーンナップを務めるモデルである。
ヘリオンは定番カラーを含めて毎シーズン、バリエーションをもってリリースされる。各3万5000円〜/オルフィック(アルファPR 03-5413-3546)
アッパーデザインにウイングチップを選んだのは、クラシカルなドレスシューズに属しながらカジュアルに振っても違和感がない懐の深さを感じたからだった。その読みは当たって、「上がってきたサンプルを見たときに、これなら結婚式の二次会くらいなら行けるぞと自信を深めました」。
木型には、ドレスシューズのそれを選んだ。

「(スニーカーの底付けでポピュラーな)ヴァルカナイズド製法の靴にもそれっぽい靴はあったけれど、スニーカーの木型で作るとどうしてものっぺりした顔になる。オルフィックは木型のチョイスから始まるといっても過言ではないほどに、木型にはこだわってきました。ただ、言うは易しで、工場にある膨大なドレスシューズ用の木型の中からスニーカーのソールに合わせられるタイプを探す作業は、ひたすら神経を消耗しました(笑)」。
後ろ姿もユニーク。
ていねいな製甲も見どころのひとつ。オルフィックがローンチから浮気することなくお願いしている工場は、製甲部門にドレスシューズとスニーカーの2部門を持っており、白川は迷うことなくドレスシューズの製甲部門をオルフィックの担当に指名した。
肝心のソールにはビブラム社のものを選んだ。「スニーカーは好きだったが、いわゆるローテク系には食指が動かなかった。石を踏みつけた感触がダイレクトに伝わるソールがどうにも苦手で」という白川にとって、文句のつけようのない厚みと弾力性があった。
軌道に乗ったオルフィックはオリジナルのソールもメニューに加えられるようになった。著名ブランドのOEM生産も手掛けるソール工場で作られた低反発のそれはどこまでも柔らかい。それだけだとねじれに対応できないから、硬度の異なるラバーパーツをセンターに走らせた。
 
こうしてスタートしたオルフィックの靴はいかにして生まれるのか。つづきは後半で。
 
白川貴善(しらかわたかよし)●シューズブランド「オルフィック」ディレクター。2011年にオルフィックをローンチ。BACK DROP BOMB、AA=、Noshowのボーカルも務める。
 
【問い合わせ】
アルファPR 03-5413-3546
竹川 圭=取材・文


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