毎シーズン注目度が高いエルメスのシルバーアクセサリー。今春リリースされた「デルタ」コレクションのブレスレットは、その登場から80年以上の歴史を誇るマスターピース、「シェーヌ・ダンクル」のコマをモチーフにした意欲作だ。
グラフィカルで構築的に表現されたその佇まいは、ブロッセ(艶なし)とポリッシュ、2種類の磨きによって仕上げられている。柔らかい表情を見せるストライプ柄のパンツに、ブレスレットのソリッドな質感が際立っている。
馬具に使用されるあぶみのベルトにインスパイアされた、エトリヴィエールと呼ばれるストラップ。軽量なコットンキャンバスで仕立てた旅行バッグは「エルメス・ブライドルバッグ」と名付けられ、メゾンのルーツでもある乗馬の世界を思い起こさせるようなディテールワークで飾り付けられている。
ドラムバッグのように丸みを帯びたボディは大容量で、ストラップのアレンジ次第で、ショルダーバッグとしても、バックパックとしても活用できる。
前合わせを異なるカラーパレットで切り替えた表情豊かなカーディガンは、クルーネックの5つボタンタイプ。サマーニットなどにはよく使われるコットンクレープ素材で仕上げているため、肌触りがさらりとしていてとても心地良い。
ベースになっている色使いは、アースカラーの代表格で味わいのあるデゼール(=砂漠)。ウエストにベルトを装備したコットンドリルのワイドパンツとマッチしつつも、鮮やかなカーディガンの切り替えは挿し色としても作用してくれる。
高木康行=写真 菊池陽之介=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 長谷川茂雄=編集・文