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スノーサーフィンの魅力って何ですか?


教えてくれたのはこの人!
2ドアーズ 代表 入江修司さん
東京・自由が丘にあるスノー&サーフギアの名店。そのオーナーである入江さんがプッシュするのが、先に紹介したゲンテンスティックの板だ。ほかにも店内にはウェアからゴーグル、ブーツが店内いっぱいに所狭しと並ぶ。
ロブ・マチャドのような世界的なトップサーファーも近年ハマっている“スノーサーフィン”。端的に「その魅力は?」と問うと、東京・自由が丘でサーフィンとスノーボードのギアを扱うショップ「2ドアーズ」を営む入江修司さんは「3D地形へのアプローチ」と答えた。
「そもそも“スノーサーフィン”もスノーボードです。スラロームやハーフパイプといったカテゴリーのひとつと言えばわかりやすいかもしれません。ではその特徴はと言えば、斜面を立体的に見る視点にあります。視点獲得のカギは、リフトを降りて見下ろした斜面を平面ではなく、立体的に捉えること。平面に見るとパラレルターンをしていく滑りになりますが、コースの両脇にある雪壁なども含めて立体的に捉えられると滑りは変わります。
その滑り方は、ボトムターンから波の斜面を駆け上がり、トップターン、オフザリップを行うサーフィンに似ています。この3D的滑走スタイルを称してスノーサーフィン。ただ、スノーボードがこの世に生まれた当初もスノーサーフィンと呼ばれていたんですよね。それ自体、新しいものではないんです」。
いわば本来のルーツを取り戻した滑走スタイルがスノーサーフィン。本来のルーツとは「雪上でサーフィンをしたい」という思いであり、その思いを抱いたサーファー、デミトリヤ・ミロビッチが、1970年代に手掛けた世界初のスノーボードブランド「ウインタースティック」にある。
「3D地形へアプローチできるギアの存在も重要です。当時の『ウインタースティック』はとんがりノーズで、前足あたりにボリュームを持たせ、テールはピンテールか、ふたつに割れたダブルピンテールが主流。すべては深雪を浮遊しながらサーフしていくためでした。
その形をひとつのヒントに、3Dアプローチ可能なギアを蘇らせたのが『ゲンテンスティック』を主宰する玉井太朗氏です。現代スノーサーフィンの世界的なパイオニアですね」。
’80年代に入るとスノーボードがブームとなり、大量生産の必要性からスキー板の製造技術が導入された。そうして生まれたのがノーズとテールがラウンドしているスケートボード形状のもの。しかしそれはサーフィン的な動きができない形だった。
一方の玉井氏はサーファーでもあり、スノーボードの現役選手時代からスノーサーフィン的デザインを考察していた。そうして生まれたのが「ゲンテンスティック」。およそ20年近く前のことである。デザインの特徴としては、深雪で浮きやすい形状であり、そのため壁面へのアプローチがしやすい。
「スノーサーフィンの人気とともに、フィールドも充実してきています。これまでゲレンデには圧雪したフラットなバーンが多かったものの、近年は非圧雪エリアや人工的に3D地形のコースを作るスキー場が生まれています。丸沼高原や天神平(群馬)、下倉(岩手)、八方尾根(長野)などはその筆頭。ゲレンデ内で安全にスノーサーフィンが楽しめるんです。ビギナーの方にもおすすめです」。
今や世界中のサーファーがこぞって始めているというスノーサーフィン。ギアもフィールドも進化の一途にあってハードルが低くなっているから、この冬こそは雪山を目指したいものである。
 
2ドアーズ
2ドアーズ
住所:東京都世田谷区奥沢6-19-18 ユタカフォレスト自由が丘2
電話番号:03-5705-7578
営業:12:00〜20:00
 
高橋絵里奈=写真(取材) 鈴木泰之=写真(静物) 小山内 隆=文


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