独自開発のテント生地が圧倒的に劣化しづらい秘密
独自開発の生地「ケルロン」も、ヒルバーグの特徴を象徴するディテールだろう。シリコンを含んだツルツルの生地は、風や雨をよく弾き、摩擦にも強い。さらに従来のナイロン生地とは比較にならないほど高い引き裂き強度を誇る。
「生地のサンプルがあるので、思い切ってペン先を突き刺してみてください」。
水野さんに言われるがままに、恐る恐るボールペンを刺してみる。当然穴が空いたように見えたのだが、生地を引っ張ってこすり合わせるとあら不思議。穴が完璧に塞がってしまった。
「一般的な防水性生地だと裏面のコーティングに穴が空いてしまうのですが、この生地はシリコンを繊維に染み込ませて防水性を確保しているため、裏にコーティング面がない。なので、穴を開けても破ける面がなく、繊維自体も切れないので元に戻るわけです」。
これはすごい!
また、生地を幾重にも折り返して縫い合わせることで、縫い目からの浸水をブロックし、縫製箇所を覆うシームテープ(縫い目からの浸水を防ぐために貼る部材)を省くことにも成功。さらに縫製作業中は、針が熱を帯びて縫い穴が広がらないよう、冷却のために風を当てながら行うという徹底ぶり。
テントや雨具の故障は、防水性を持たせるためのコーティングや縫い目に貼ったシームテープが劣化して剥がれることが主な原因となる。しかし、ヒルバーグのテントにはそもそも劣化して剥がれるもの自体がない。必然、経年劣化の心配が少なく、寿命の長〜いテントが出来上がるのだ。
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