自由でこそのファッション。でも、自由とは責任の裏返し。そこに折り合いをつけることは、社会で生きるうえで絶対に必要だ。その懸け橋となるサステイナブルな服、あらためて今年こそ。
「アディダス」のスニーカー
高反発のブーストミッドソールを装備した歩きやすさ抜群の軽量シューズだ。絶妙なハイテク感漂うニットアッパーは、まるで靴下のような優しい履き心地も魅力。しかも、海岸や海沿いの街で回収されたプラスチック廃棄物を原料とする糸を部分的に採用。履いて納得、知ってさらに納得。だからどこまでも、気持ち良く歩いて行ける。
「ティンバーランド」の靴
手縫いのモカシンがこだわりを滲ませる1足は、リサイクルペットボトルを50%以上含む「ReBOTL」素材のライニングを装備する。また、プレミアムレザーのアッパーも、環境に配慮した製造過程が評価されてLWGシルバーランクを与えられたタンナリー謹製。内側も外側も隙がない、才色兼備な優等生だ。
「ベータ ポスト」のバッグ
レジ袋の有料化が義務づけられる今年、こんな変わり種はいかがだろう? 奄美大島が誇る伝統工芸「大島紬」の技術を大胆にもレジ袋との融合に応用。「ゴミと伝統工芸品」を掛け合わせたエコバッグである。見る人の思考を促すようなbeta(実験的)、post(提示)。その真骨頂がここに。
「ビルケンシュトック」のサンダル
シューズメーカーとして世界で初めて水溶性および無溶剤の接着剤を取り入れるなど、いち早くサステイナブルな姿勢を明示。ドイツブランドらしいキマジメさは、いつの時代も頼りになる。今作ビーガンシリーズは、動物性の素材をいっさい使用せず。植物性染料で表現した遊びあるパステルカラーには、やはり“マジメ”も潜むのだ。
「バリー」のバッグ
製造過程において環境負荷が少なく、リサイクルもしやすいTPU素材。そのシースルーケースからは、日の出や夕焼けを思わせるカラーパレットが覗く。複雑なギミックで表現したのは、バリーが柱として掲げるデザインと自然の融合だ。すべてのファッション好きよ、美しき明日を背負え!
「オール ブルース」のアクセサリー
生まれはスウェーデン・ストックホルム。気鋭のジュエラーが目指すのは、保守的な宝飾業界のアップデートだ。北欧らしいミニマルなルックスは、リサイクルのスターリングシルバーで形成。広義のデザインにおいて、きわめてモダンなアプローチを見せる。一方で、ストックホルムで3代続く鋳物工場の職人が手作業で製作する背景には、伝統文化を未来へ残す“持続性”も内包。
「ヴェジャ」のスニーカー
ブラジルで作られるフレンチブランドの靴。なにやら不思議な取り合わせだが、そこには特別な意味が。レトロ&ポップな外見を支えるのは、100%ペットボトルのリサイクルから生まれたB-MESHのアッパー、そしてアマゾン原産の天然ゴムソールだ。さらに、六角形のメッシュ部分にはオーガニックコットンを使用。ブラジル北東部でオーガニックの綿花を栽培する農家からフェアトレードでコットンを購入する。
「ラ ブーシュ ルージュ」のリップバーム
サステイナブルの波が押し寄せるのは、アパレル業界に限った話ではない。例えばコスメティック業界も敏感に反応。2017年誕生のパリブランドは、パラペンやパラフィン、防腐剤などの身体に有害な成分をいっさい使わないリップを作り上げた。バッグの端切れなどを再利用したベジタブルタンニンレザーのケースも、とことんサステイナブル。早速パートナーに推薦だ!
清水健吾、鈴木泰之=写真 菊池陽之介、星 光彦=スタイリング 増山直樹=文