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2020.02.07

ファッション

火付け役は再び藤原ヒロシか。レッド・ウィングが今無性に履きたい理由

ここ数年続くスニーカーブームのど真ん中にいながら、今本当に履きたい靴について考える。その答えのひとつとして再び熱視線を集めているのがレッド・ウィングだ。その兆しを感じている人、少なくないのでは?

年末の争奪戦を経てブーム再来の予感!

それは青天の霹靂だった。HFこと藤原ヒロシ氏が主宰するフラグメント デザインと、レッド・ウィングとの初となるコラボモデルの発売である。2019年の秋、このビッグニュースに胸を熱くした諸兄も多いのではないだろうか。
そう、HFとレッド・ウィングといえば、思い出されるのは1990年代の半ばのこと。時代は、空前絶後のアメカジブームの最盛期。社会現象にまで発展した「エアマックス95」に象徴されるスニーカーや「501XX」を頂点とするヴィンテージデニムと並び、世の若者に“GET指令!”が出されていたのが、ほかでもないレッド・ウィングのブーツだった。
当時からストリートのカリスマであった音楽プロデューサーの藤原ヒロシ氏が、個人的にソールを張り替え、1996年に雑誌で披露して大反響を呼んだ私物のレッド・ウィング。
当時からストリートのカリスマであった音楽プロデューサーの藤原ヒロシ氏が、個人的にソールを張り替え、1996年に雑誌で披露して大反響を呼んだ私物のレッド・ウィング。今回のコラボモデルは、そこから商品化された「#8179」をベースとしたセルフオマージュな逸品だ。アッパーのステッチを黒に統一してエレガントな雰囲気が高められ、また側面にはブランド名とフラグメント デザインのWネーム刻印も。昨年11月末に発売されるや否や即完売に。参考商品
こと看板シリーズであるアイリッシュセッターの人気は凄まじく、なかでもブラックは激しい争奪戦に。始まりは’95年、黒のラウンドトゥに白のトラクショントレッド・ソールを組み合わせた、ビームスによる初別注モデルがスマッシュヒットを飛ばしたことに端を発する。一方、当時、黒のモックトゥには武骨なラグソール、または同社独自のスーパーソールを搭載した黒底タイプしか存在していなかった。
しかし’96年、HFは白ソールを装着した黒のモックトゥを履いて雑誌に登場したのである。それは“靴選びの一番のポイントはソールが白いこと”と公言していた氏が、個人的にソールを張り替えたプライベートカスタムだったのだが、既に多大な影響力を持っていたカリスマが紹介したとあって、輸入代理店には問い合わせが殺到。急遽、HFの私物に倣って製品化されたのが、現在でもトップセラーのひとつである「#8179」だった。
これによりブームはさらに過熱。入荷日にはショップに大行列ができ、委託販売店や個人売買ではプレミア価格で取引され、果てはニセモノまで出回る始末に。あの狂乱をリアルタイムで体験したオーシャンズ読者は少なくないはずだ。
 
あれから20年余り、今度は正式なコラボとして昨年末にリリースされたフラグメントによるカスタムモデル。一大ムーブメントの発信源となった往年の私物をモチーフに、細部のブラッシュアップを図ったセルフオマージュな一足は、かつてと同じく瞬く間に完売となり、早くもネットオークションなどでは価格が高騰している。
ご存じのとおり、世の中は’90年代以来ともいわれるスニーカーブームの真っ只中。だが、あまりにトレンドが長く続いていることで、そろそろ次のシューズへとシフトする気運も高まりつつある。そうしたタイミングで投入された件のコラボモデルは、久しく疎遠になっていたレッド・ウィングを改めて思い出すキッカケとなり、ブーム再来の起爆剤にもなったようだ。事実、HFだけでなく、スタイリストやデザイナーをはじめとするファッションの玄人たちも、最近こぞってレッド・ウィングを愛用している。先日公開した「いち早くカスタマイズサービスを体験したファッション業界人」の記事を見ても熱の高まりは明らかだ。
快適なスニーカーに甘やかされた今の我々の足には、本格ワークブーツは正直ちょっとツライ。そんなことは百も承知で、何だか無性にまた履きたい気分なのは、昨今の’90sリバイバルの流れもあるだろう。とにかく今年は、レッド・ウィングに戻ろうじゃないか。どのモデルがオススメなのかは、こちらの記事を参考に!
 
高橋絵里奈=写真 菊池陽之介=スタイリング いくら直幸=文


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