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まず、1つ目の理由は、「箱根駅伝を席巻『進化した厚底シューズ』の衝撃」でも述べたように、「ユニフォームには制限があるけれど、靴には制限がない、選手の自由だ」ということです。
【理由1】靴だけは選手の自由
選手はチームが契約したメーカーのユニフォームを着ますが、多くの大学では靴だけは選手の裁量にまかせていることが多い。選手が自由に「履きたい靴」を選ぶことができます。
箱根駅伝に出る選手たちは、中高大と全国レベルで切磋琢磨してきた間柄。お互いの走力はだいたい把握していますし、つねにLINEやSNSで情報のやりとりがされています。「ヴェイパーは使える」そういう話題が選手間で広がっていったことは、容易に想像することができます。
今年の箱根駅伝で、ナイキとユニフォーム契約をしているのは、「東海大学」「東洋大学」「駒澤大学」「中央大学」の4校だけですが、それ以外の大学でも、多くの選手が「ヴェイパー」を履いています。「ユニフォームと靴のメーカーの違い」に注目すると、その選手の「信念」が見えてきます。

「カーボンプレートの反発」で、疲労感が大幅に軽減

【理由2】「疲労感」が違う
実は、「ヴェイパー」のポイントは、ソールに「カーボンプレート」が内蔵されていることにあります。以前の箱根駅伝の靴は、「薄くて反発性の高いソール」がメインでした。機能的に並んだ硬いポイントソールで、アスファルトをガリッとつかんで蹴り上げることでスピードを出す、という走り方だったんです。
これが、「カーボンプレートの反発を使う」という仕組みになって、路面と触れ合うソールに、それほどまでの硬さが必要ではなくなりました。路面からの衝撃がダイレクトに伝わっていたこれまでとは違い、「疲労感」が大幅に軽減され、そして、靴にうまく体重をのせて重心移動で走るというものに変わりました。
長距離に強いアフリカ人は、硬い道を蹴るのでなく、土の上をうまく重心移動することでスピードを出して走っています。「ヴェイパー」を履くことによって、よりアフリカ人に近い動きができるようにもなっているのです。
僕自身も一市民ランナーですが、実際に履いて走ってみると、自然にきれいなフォームで走ることができるのだから驚きます。
僕は以前、地面を蹴って前に走り出そうとするフォームでした。ところが「ヴェイパー」を履くと、「靴の反発をうまくもらおうとするには、もっと手前に足を置いたほうがラクだな」「地面からの反発が強くなるから、上に浮き上がらずに前に飛ぶようにもっと前傾姿勢に、そして腕振りも高くしよう」といったように、いつの間にか「理想の走り方」に近づいていくのです。


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