【9句】
誰もが応援したくなる筑波大学
勝敗とは別に、
今年注目したいのが、26年ぶりに本戦出場を決めた
筑波大学です。
各校が箱根駅伝のために強化費などを投入するなか、国立大学である筑波大学は資金がなくて、強化費どころか部費すらもままならなかった。そこで
「箱根駅伝復活プロジェクト」と題し、クラウドファンディングを行ったのです。
部員たちは資金を集めるためにランニングイベントでチラシをまいたり、市民ランナーのペースメイクをしたりと地道な活動をして、応援してくれる人を増やしていきました。
インセンティブは筑波大学のキーホルダーやマフラータオルなど、決して大きなものではありません。けれど、世の中の大半の人にとって出身校が箱根駅伝を走ることはないなかで、
筑波大学を応援することで、自分たちの夢を託そうと思った。そんな多くの箱根駅伝好きがお金を託したのです。
そして今年、筑波大学はついに予選会を突破し、本選出場を手に入れた。その途端、
クラウドファンディングには過去3年分の運営費にあたるお金が集まったのです。もちろん僕も支援をしました。
また、筑波大学はスポンサー不在が続いていました。けれども
予選会でユニフォームが揃っていないのは恥ずかしいと、デサントのある担当者に相談をしたんです。
ここでスゴいのは、その担当者が、会社を通すと時間がかかるし面倒だと判断し、
「全部員分は揃えられないので、レギュラー分だけになってしまうけれど、僕の懐でやります!」と会社に内緒でユニフォームを作ったんです。
予選会を突破したことで「会社にばれちゃいます!」と担当者は慌てましたが、会社側は逆によくやったということになり、晴れて、
デサントが筑波大学をサポートすることになりました。
ほら、もう筑波大学を応援したくなったでしょ?
これらのポイントを押さえておいて、家族や親族に知識を披露してみてもいいだろう。今年のお正月はいつもと違う箱根が楽しめるはずだ。明日はラストの10句。受験との意外な関係を斬る!
西本武司さん●中長距離レースや駅伝に関する世界の情報を配信する「EKIDEN News」主宰。トークショーや、松浦弥太郎著『それからの僕にはマラソンがあった』(筑摩書房)にて対談を行うなど、幅広い分野で活躍。「あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド2020」を今年も監修。公式ツイッター(@EKIDEN_News)もチェック!
林田順子=取材・文