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②かつおちゃんが磨き上げた“かつお力”が本物だ!

かつお食堂では、すべて職人がひとつひとつ丁寧に手作りしたかつお節だけを厳選している。
その可愛らしい見た目からは想像がつかないが、かつおちゃんは自身の“かつお道”を極めるため、全国各地で武者修行を重ねた猛者。かつおにハマってからは、まず静岡県のかつお節専門店の門を叩いたという。
「私のかつお節への想いを店主に伝えると、かつお節の歴史や魅力を私に教えてくれて、『かつお節は日本人の味だから、いつか自分の子供にも伝えてね』とか、『どのかつお節がどの料理に合うか、いろいろ発見してみなよ』って私を鼓舞してくれて。それから本格的にかつお節の産地をめぐる旅が始まりました」。
かつお食堂では、鹿児島、高知、静岡の生産者からかつお節を取り寄せている。作る人によってその味は違うのだとか。客にも味の特徴を丁寧に説明するのが、かつおちゃん流。生産者とも強い信頼関係で結びついているのだ。
かつお節の真髄を知るため、各地方の産地を“回遊”。訪ねた土地は沖縄・鹿児島・高知・三重・静岡・千葉・宮城などなど。職人が働く現場を手伝い、かつお節がどれだけ丹精込めて作られているか身をもって体感することで、知識もスポンジのように吸収していった。
「かつお節の削り方も、各地を巡る旅のなかで出会った人たちに教わりました。『田舎にはまだ、きっと自分でかつお節を削っている年配の方々がたくさんいるはずだ』と考えて、削り器を片手にいろんな地方を訪ねて、道行く人を捕まえてはかつお節の削り方を聞いて回ったりもしました」。
かつお節を削るカンナにもこだわりがあり、20個ほどストックがあるという。今も月イチで新潟県のカンナ職人を訪ね、メンテナンス方法などを学んでいるという。かつお節に関することには一切妥協がない。
こうして本物の“かつお力”を身に着けていったかつおちゃん。かつお食堂で使っているかつお節も、すべて彼女自身が訪ねて回った全国の職人による手作りのものだけ。野菜などではよく「顔の見える生産者」というが、かつお節でのそれは前代未聞。もちろんいい意味で、である。
 

③元パリピのかつおちゃんのコミュ力が最高だ!

食事を用意するときも終始話しまくるかつおちゃん。話題はすべてかつお関連だ。ねじりハチマキと髪のメッシュはかつおをイメージしたものだそう。
「かつお節は、背中とお腹で脂の乗り方が違います。背中側は筋肉質で脂も少なく上品な味わい。お腹側は脂が多く、しっかりした味わいです。どちらの部位を食べるか、端っこのお客さんからうかがっていきますね!」。
コの字型のカウンターの真ん中で、客たちと気兼ねなく話すかつおちゃん。次々かつおトークが展開され、ひとりで訪れてもまったく退屈しない。それどころか、アドベンチャー感さえある。
「今日のかつお節は、モーツァルトを聴きながら熟成したものです」。
「かつお節には体内で合成されない必須アミノ酸がすべて含まれていて、栄養満点なんですよ」。
「かつおは縄文時代から食べられていたので、日本人のDNAにかつおは刻み込まれているんです」。
「かつお日本地図」を使いながら産地による味の違いを説明するかつおちゃん。「昔は話し始めると料理の手が止まっていましたが、今では作業しながら話せるようになりました!」と成長を報告し、客を笑わせる。
実はかつおちゃん、かつお人生送るまでは完全なるギャルで、クラブ通いを続けるパーリーピーポーだった。とくに六本木の「VANITY」や渋谷の「WOMB」に通いつめたという。
ギャル時代のかつおちゃん。
「当時は友達と週4でクラブに行ってましたね。テキーラばかり飲んで、当時はショットグラスに12杯とかざらでした。一緒にクラブに行ってくれる人と結婚したいと思っていましたし、とにかく友達と遊びたくてクラブに行きまくっていました」。
かつお人生を歩み始めてからはめっきりクラブへ足を運ぶこともなくなったが、もともと人との触れ合いが大好きなかつおちゃん。その高いコミュニケーション能力はかつお食堂でも発揮され、多くの人を虜にしている。


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