ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
今回は「Fit Like Skin」
その軽さは衝撃だった。全身を覆うフルスーツと呼ばれるタイプなのに、手触りはふんわりとしている。重さは660g。およそボードショーツ2枚分というから、クイックシルバー社がリリースした1mm厚のウエットスーツは、まさしく画期的といっていい。
このサーフィン用ウエットスーツの開発における最大のポイントは、保温性と機能性を、どのようなバランスで融合させるかにある。保温性を高めれば生地を厚くするなど全体が重たくなるために機能性は低くなり、機能性を高めれば保温性が低くなる。
しかし日本企画として始まったこのモデルは、結果としてグローバルで展開することになった。世界のトップシーンで活躍するアスリートサーファーたちが着たいと思えるクオリティを備えるためである。
それはつまり、軽さに加え、暖かく、動きやすい、ということ。「世界で勝つことを義務づけられたサーファーたちに愛される1枚に」という開発前の命題を、見事にクリアしたウエットスーツなのである。
memo夏でも日本の海水温は20℃ほど。体温より低く、そのため「ボードショーツをはくより快適なのでは?」という声も開発チームから聞こえてくるのが、この「ハイラインプロ1mmウエットスーツ」。100%シームレスで防水性を高め、軽い着圧が全身を引き締め第二の皮膚のようにズレなく体躯を覆うなど機能性は最上級。サーファーのスタンス別にレギュラー用、グーフィー用のデザインを揃える。
渡辺修身=写真 小山内 隆=編集・文