街がランウェイになるスニーカー●世界のファッションショーを長年にわたり取材してきたジャーナリストの増田海治郎。そんなランウェイの専門家であり中毒者でもある増田が、トップメゾンの最旬スニーカーを多角的な視点で解説する短期連載。
第2回目はグッチ。クラシックなGGパターンのバケツバッグの上には、なんとミッキーマウスが描かれている! ミケーレさん、ひょっとして渋カジ好き?
アレッサンドロ・ミケーレのグッチの勢いが止まらない。直近では、2019年度の第3四半期(7-9月)のグッチ単体の売上高は、前年比10.7%増を記録。ここ数年の爆上げと比較すれば伸長率は鈍化しているが、その人気はまだまだ健在と言っていいだろう。のっけから業界紙みたいな入り方で恐縮だが、数字でのその好調っぷりを伝えたかったのだ。
ミケーレの耽美的な世界観は、あたかも中世の貴族が地上に舞い降りたようで、よほどのファッショニスタじゃないと着こなせないと思っている人が多いかもしれない。もちろん「誰が着るんじゃー!」って突っ込みたくなるような攻めたアイテムもある。でも、ミケーレは実はコアなアメカジ&古着好き。オーシャンズ読者に響きそうなアイテムもたくさんあったりする。
2020年クルーズ コレクションでいうと、ミッキーマウスがプリントされたバケツバッグ(写真上参照)、ユーズド加工が施されたブーツカットのベルベットパンツ、80年代のランニングシューズ風のスニーカー、グルカ風のショートパンツなんかがそう。なかでも、さまざまなバリエーションを誇るスニーカーは、ミケーレのグッチを気軽に体感できるのでオススメだ。
「ウルトラペース」は、クラシックなランニングシューズから着想を得たスニーカー。メタリックレザー、ヴィンテージ加工を施したスエード、リフレクター、メッシュトリムを組み合わせたデザインで、2月に発表された2019-20年秋冬 コレクションのランウェイでも、ひときわ存在感を放っていた。
ダッドシューズほどのボリュームはないから、デニムからトラウザーまで合わせるスタイルを選ばなそうだし、スポーツブランドのランニングシューズ感覚で気軽に履ける。紐とスエードの部分だけヴィンテージ加工しているのも芸が細かいし、何より親近感が湧く。ファースト・ミケーレとしてピッタリでしょ!
2020年クルーズ コレクションで登場した「ウルトラペース」のミッドトップ(ミッドカット)は、派手な多色使いということもあり、ローカットよりは上級者向け。
といっても、ターコイズブルー、ピンク、イエロー、オレンジ、グレーのいずれかの色を拾って、スニーカーが主役になるようなスタイリングにすれば、それほど取り入れるのは難しくないはずだ。アウトドアブランドのシェルアウターに合わせて、ミスマッチ感を楽しむのもいいかもしれない。
最後は「グッチ テニス 1977」。グッチのアーカイブを参考に、オリジナルのディテールと現代的なスピリットを融合させたミケーレの最新作だ。
特徴はサイドのウェブ ストライプと、ミッドソールのグリーンのライン。写真のブルーベースのGGパターン、プレーンカラーのベーシックなキャンバスなど、5種類のデザインを用意する。
40年以上前に誕生したこのスニーカーのオリジナルは、フロリダからフレンチ・リビエラまで世界のリゾート地のテニスコートを飛び回るジェットセッターたちに愛されたアイテムだった。旅のお供にも日常使いにも最適なカジュアルで特別な一足を手に入れてみよう。
[問い合わせ]グッチ ジャパン クライアントサービス0120-99-2177増田海治郎=文