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2019.11.28

あそぶ

ガレージブランドから世界的銘柄に上り詰めた「マーモット」の探究心

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
マーモット
世界中でアウトドアブランドが設立された1970年代。「Marmot(マーモット)」も同時期の1974年に誕生。創業のきっかけにもなったダウンジャケットなどのインシュレーションウェア(中間着)が多くの登山家に支持され、ブランドを代表するプロダクトになっていく。
その後いくつかの転機を経て、今やほかとは一線を画す存在となった。すべては創業時から今も受け継がれる先見性、こだわりの賜物なのだが、具体的には何か? デサントジャパン株式会社で、アウトドア営業部に勤める齋藤 淳さんに教えてもらった。
 

学生が立ち上げたアウトドアサークルが発展

マーモットを担当する齋藤さん
たくさんのメガブランドを擁するデサントにあって、特にマーモットを担当する齋藤さん。
——最近、コラボやリバイバルで注目される「マーモット」ですが、そもそもどういったヒストリーが?
アラスカの氷河の研究に参加していたエリック・レイノルズとデイヴ・ハントリーが、ガレージブランド的にスタート。氷上で受ける授業をいかに快適にするか悩んでいた彼らは、大学の寮を工房にしてダウンウェアと、-45度まで耐えられるスリーピングバッグを製作しました。
それより以前にマーモットクラブという、アウトドアサークルがあり、なんでも、氷河を登るのが入団条件だったとか。そして、1974年に友人のトム・ボイスを招き、コロラド州グランドジャンクションにて小売店「マーモット マウンテン ワークス」を創業しました。
——相当な小規模だったようですが、なぜ成長できたのでしょう?
設立メンバーのひとりであるトムがブランド創設年に、ペルーで映画プロデューサーと出会います。その男から、「108着のダウンジャケットを1週間で作ってほしい」とオーダーされ、トムたちは無事にミッションを遂行。
『Golden Mantle』と名付けられたそのプロダクトは、クリント・イーストウッド主演の山岳アクション映画『アイガー・サンクション』に提供され、一気に「マーモット」の名前を広めるのに貢献しました。また、’76年には無名に近かった素材、ゴアテックスにいち早く注目し、スリーピングバッグに取り入れると、次々に採用アイテムを発表。画期的ファブリックを積極的に使用した先駆けになりました。
カタログ
若者のアイデアと先端技術の積極的活用によって、機能特化のイメージが固まった。
——ミニマムだからこそ最新技術に対する反応が早かったのですね!
素材選びの妙も素晴らしいですが、彼らはアイデアマンだったようです。脇下ベンチレーションや袖口のベルクロ、パウダースカートなど、現在のアウトドアアウターに採用されているギミックの多くは、「マーモット」が元祖だったようです。
単純なメンズのミニサイズではないレディース用モデルの展開、ULカルチャーのベースであるライトパッキングの提唱など、さまざまなチャレンジも行いました。結果、小さなガレージブランドから、機能性特化のブランドとして、山のプロを中心に知られるようになったそうです。
デイヴ・ハントリー
創設者のひとりであるデイヴ・ハントリー。氷河の研究を進めるために防寒具を作り始めた。
——プロに評価されマスに広がっていくのは、スポーツブランドも同じですよね。
当時からシリアスクライマーや山岳ガイドをサポートし、そのレスポンスをプロダクトに反映させる姿勢がありました。今も同じ手法を継承し、実地テストの情報は大切にしています。
例えば、単独で北極探検をしている角幡唯介さんの意見です。氷点下の世界で活動するのが常の彼にとっては、ダウンですら力不足。自分から発生する湿気によって、保温性が衰えることがある。そこで我々が用意したのが、安定した保温力が魅力のプリマロフトを採用したアウター。またレスポンスがあれば、改良して市販品への反映も行うわけです。


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