より高みへ。実直すぎる物選びを退屈とさえ思う男たちは、着る以上の楽しみを得たいと考える欲張りだ。だからこそ背景にあるストーリーまでも重視する。費用対効果的に得したいのではない。語れるアウターを、着て楽しみ、知って楽しむのだ。欲望のままに。
「ブルックス ブラザーズ」
進化をやめないブランドの矜持
昨年で創立200年を迎えたアメリカンクラシックの名門が長きにわたって作り続ける、定番のバルカラー(=ステンカラー)コート。時代に応じて形を変えながら、トラッドが回帰する現代にそのエッセンスを継承する。最新モデルでは、イタリアのオルメテックス社によるポリウレタンコーティングのボンディングツイルを採用。
ハリがあって、水に強いうえ、光沢感が向上。サーモア社の高機能インシュレーションを用いて機能面においても柔軟にアップデートを遂げている。定番に安住せず、進化をやめないブランドの姿勢にも感動。シンプルコーデに羽織るだけでも、そうした時代の積み重ねを感じられる一枚。まさにロマンティック。
「エイトン」
幻の生地「ウエストポイント」って?
戦後マッカーサーに進呈したといわれる幻の生地「ウエストポイント」。この生地レシピを、エイトンのディレクター久㟢康晴さんが20年ほど前に解明して復刻した経緯があった。その後2017年、同生地をエイトンオリジナルで完全復刻。かくも深いストーリーを持つ生地を使用しているのが、このトレンチコートである。
カリフォルニア綿花を関西の工場で紡績、糸染めから織り上げは尾州(愛知県)のシャトル織機で製作。ソフトな風合いとニュアンスのある発色が凛とした風情さえ湛えている。袖を通したときの風格はマッカーサー並みか!?
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