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MANOLO BLAHNIK マノロ ブラニク
「走れるパンプス」を生み出し、女性たちの足を美しく飾り、心躍らせてきた靴の王様、マノロ ブラニク。今年の春、東京・表参道に旗艦店をオープンさせると同時に、ついに「男のマノロ ブラニク」も上陸した。女性を虜にしてきたその魅力は、きっとオーシャンズな男も虜にするだろう。
「ハロー、マイ・ネーム・イズ・マノロ ブラニク」
〜中野香織・文〜
女性の靴の世界では、マノロ ブラニクはため息とともに語られる別格の靴である。
自分の名、マノロ・ブラニクをブランド名にした靴デザイナーは、米ヴォーグ誌編集長のアナ・ウィンターが「もうほかの人の靴は履かない。見もしないわ」と絶賛し、映画監督のソフィア・コッポラが『マリー・アントワネット』製作の際に18世紀のフランス王妃に相応しい靴としてデザインを依頼し、故ダイアナ元妃がここ一番の場面で自信を持ちたいときに頼みの綱とした、45年以上のキャリアを誇る巨匠である。
ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」では主人公のキャリーがマノロ ブラニクを買いすぎて破産しかけるというエピソードが出てくるし、日本のドラマ「花より男子」では、ヒロインの牧野つくしが、「美しい靴は美しい場所へ連れて行ってくれるのよ」とマノロ ブラニクの靴をプレゼントされる。フィクションにおいても、マノロ ブラニクはドラマを作るのだ。
マノロの靴とともに埋葬してほしいと願う女性がいるほどの熱狂を作るデザイナーは、スペイン領のカナリア諸島で子供時代を過ごした。ドキュメンタリー映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』では、幼少時に既にチョコレートの包み紙でトカゲのために靴を作って遊んでいた、マノロ・ブラニクが描かれている。
彼が靴デザイナーになったきっかけは、伝説の米ヴォーグ編集長、ダイアナ・ヴリーランドとの出会いである。1969年、ニューヨークに旅行中だった彼は、ヴリーランドにスケッチブックを見せる。それを見たヴリーランドが助言するのである。靴を作りなさい、と。ブラニクは素直に助言に従い、独学で靴作りを学ぶのだ。
現在は、ロンドンの旗艦店を筆頭に、世界各地に店舗を構える。各国で大好評を博し、イギリスからは大英帝国三等勲章を受勲している。母国スペインでは「画家のピカソ、映画監督のペドロ・アルモドバル、そしてマノロ・ブラニク」と三大偉人にまで並び称せられるほどの地位を築いている。
本人は、華やかなスターに囲まれる人気者でありながら、孤独を好む。どんなに売れても大量生産の波には乗らず、自ら工房で木型を削る。
靴デザイナーとして生きることを運命として背負った巨匠が、メンズラインを本格的に出したのが2019年春夏である。柔らかでカラフルに見えて、地に足がつく落ち着きを備えた靴。繊細で華奢に見えて、実は疲れ知らずのパワフルな靴。トレンド感があるのにタイムレスな美しさも備えたサステイナブルな靴。アップデートされた自由な感性で生きる新世代の男性の足元と心を、マノロは官能的に包み込んでくれるだろう。この靴を履いたときに生まれる自信は、素敵な場所へ、未来へとあなたを連れて行ってくれるはずだ。
デザイナーの好きな田舎町から名付けられた、ブランドを代表するオックスフォード「ウィットニー」。英国的なクラシックな佇まいのなかに、ロンドンの多彩なカルチャーを表現。豊かな自然と歴史的建造物に囲まれたスペイン・カナリア諸島出身ならではのユニークで明るい感性が、多彩な「色」で表現され、足元を鮮やかに彩る。
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