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Q03.デニムが縦落ちするのはなぜでしょう?

答え 【A】糸の真ん中が白いから


小林 これは簡単でしたかね? デニムは、染色したタテ糸と無染色のヨコ糸を綾織りにした綿の厚生地でできています。ポイントはタテ糸で中白(なかじろ)、つまりは糸の中身に白い部分を残して染色されているところにあります。はくほどに表面のインディゴブルーが落ちて、徐々に中の白い部分が顔を覗かせるわけですね。
ただ、これは狙って作ったものではないんです。先程の話にもつながりますが、要は安く濃い色の服を作りたかった。誕生当時のデニムは鉱山労働者へのレンタル品で、作業を終えるとみんなもとにあった場所へ戻して帰って行ったんだそうです。そんな使い捨てに近い状況だったから、内部までがっつりインディゴを使わなくてもいいよね、ってことになった。そこで開発されたのがロープ染色です。
糸を天井まで釣り上げ、下に用意された藍ガメの中を通してまた吊っていく。それを十数回繰り返すと、酸化しながらいつの間にか表面だけ藍色の糸になっていくんです。
 

Q04.リーバイスが作ったタキシードの名前はどれ?

答え 【B】クロスビージャケット

小林さんが26歳のときに手に入れ、結婚式にも着用したクロスビージャケット。「コレクターで知られる岸部四郎さんも所有していましたね」。
小林 名前の由来は、ビング・クロスビーというハリウッドの役者にあります。彼が映画の撮影時に、リーバイスのファーストと尾錠付きのパンツを履いて、とあるホテルへ行ったんです。すると、ドアマンから「あなたのような服を着ている人は当方のホテルのお客ではない」と言われたんですね。素性を明かしたら「失礼しました!」となり、お詫びとして全米ホテル協会の人たちが、リーバイ・ストラウス社の生地でできたタキシードを送ったらしいのです。
ジャケット裏には大きな革タグを配置。「このタキシードを着てきた人は、ホテル組合加盟店から最高の祝福を受けるだろう」と書いてある。
本人は大喜びですよ。それが社会的にいい話だってことになって、リーバイ・ストラウス社がこれをジーパンのキャンペーンに使ったんですね。ここにあるのは、そのときのディスプレイ用。何着作ったかは諸説あって、最近の情報だと限定130着だったんじゃないかと言われています。’50年代には全米の直営店数が130だったからです。
 
あなたは何問答えられた? 初級編にしてこのレベル。次回、中級編を心して待たれよ!
 
菊地 亮=取材・文


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