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本当に火花が散る!?
激しいぶつかり合いに興奮したなら「車いすラグビー」を

車いす同士の激しいぶつかり合いも見どころの車いすラグビー。 写真:日刊スポーツ/アフロ
一方、パラリンピックの車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)は、こちらもその名の通り、さまざまな障がいのある選手が競技用の車いすに乗ってプレーするラグビーである。競技の基本的得点システムはラグビーとほぼ同じ。選手はパス、ドリブル、膝の上にボールを乗せるといった方法でボールを運び、選手がボールを保持した状態で、車いすの2つの車輪がトライラインに乗るか通過するとトライである。
ただ、15人制や7人制のラグビーと違い、試合はバスケットボールコートを使用するためフィールドは狭い。さらにボールは楕円形ではなく、バレーボールのような形状だ。
そして最大とも言える違いが、前方へのバスが認められていることと、オフェンス側はボールを持ってから40秒以内にトライをしなければいけないなど、いくつか時間制限があること。なので試合展開はこちらもスピーディーだ。
このようにラグビーとの違いもある車いすラグビーだが、ラグビーの魅力のひとつである「肉弾戦」の要素は十二分にある。というのも、車いすラグビーは車いすでのタックルが認められているのだ。車いす同士のぶつかり合いが許可されているのは、パラリンピックの全競技の中で車いすラグビーのみ。人体だけではなく、車いすという道具が激突する迫力や衝撃は、ある意味、ラグビー以上ともいえ、車いすラグビーには「マーダーボール(殺人球技)」という異名もあるほど。7人制ラグビーとは対照的に、ラグビーW杯で選手同士の激しいぶつかり合いに魅了された人は、車いすラグビーが楽しめるかもしれない。
 
そして最後に、7人制ラグビーも車いすラグビーも、日本は今回のW杯日本代表に負けない実績を積んでいる。7人制ラグビーの男子はリオ五輪でニュージーランドを倒す大金星を挙げ、メダルは逃したが4位につけた。女子は1次リーグ敗退だったが、東京での躍進を狙っている。
さらに車いすラグビーに関してはリオのパラリンピックでは銅メダル、2018年の世界選手権では初優勝を遂げるなどもはや世界トップクラス。当然ながら東京パラリンピックでは金メダル候補である。
 
W杯で芽生えたラグビー熱を一時的なものにするのはもったいない。来年の東京オリンピック・パラリンピックでも、華麗な走りや激しいぶつかり合いに、熱くなろうじゃないか!
 
田澤健一郎=文


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